異世界旅行2-5 旬には少し早すぎて、だから今から待ち遠しくて 49
「初めまして、小鳥遊すみれと申します。こちらが本日の昼食です。ぜひともご賞味ください!」
「これはこれは。わざわざ作ってくれてありがとう。これは玉ねぎと鶏肉料理かな。それでは、みんなで一緒に食べようか」
「かしこまりました。全員分を用意しますね」
厨房に戻って用意しておいたプレートをオーブンに投入。5分ほど温めたらできあがり。
その間にキキちゃんとヤヤちゃんにガレットを作ってもらう。レーレィさんとベレッタさんたちに作ってもらった具材を乗せて完成。
オニオンチキンとガレットの昼食。シンプルながらボリュームたっぷりのランチになりました。
キキちゃんとヤヤちゃんに料理を運んでもらうと、彼女たちは国王様の両隣に座って手を合わせる。
「今日はすみれさんの作ったオニオンチキンです。とってもおいしいよ!」
「ガレットもとってもおいしいです。こちらは私たちが作りました。ぜひとも食べてみてください」
「二人とも、みんな、本当にありがとう。キキちゃんもヤヤちゃんも異世界で楽しく過ごしてるかい?」
「「はいっ!」」
「それはなによりだ。それでは、みなに料理がいきわたったようだから、いただきます」
「「「「「いただきます!」」」」」
手を合わせて昼食を始める。
ちゃんとおいしいオニオンチキンなのだけど、国王様のお口に合うかどうか心配です。
食べるより先に国王様の反応を見る。
「うん。玉ねぎも鶏肉も柔らかくておいしいね。キキちゃんたちが作ってくれたガレットもとってもおいしいよ。この甘めのソースは異世界ではポピュラーなものなのかな?」
「レーレィさんが作ってくれました。レーレィさんはお料理がとっても上手なの」
キキちゃんから話題の矛先を向けられたレーレィさんの体が小さく飛び上がる。
彼女は一般人。王様を相手に会話をした経験などない。だけど、腹をくくったレーレィさんは社会人経験からくる冷静さを思い出す。
「初めまして、レーレィ・アダンと申します。今回作ったソースは果物を使ったものでして、異世界であるグレンツェンでよく好まれるものです。お口に合ったようでなによりです」
「ほほぉ! わざわざ作ってくださってありがとうございます。おかげでとても楽しいひとときを過ごせます」
どうやらランチは大成功のようだ。
私としてはそれがなにより。喜んでもらえたなら最上です。




