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異世界旅行2-5 旬には少し早すぎて、だから今から待ち遠しくて 46

 そこからは電光石火の早業。

 玉ねぎは皮を剥いて頭と尻を落とす。チキンはひと口大に切る。玉ねぎ一個とチキンを七個ほど器に入れ、蓋をして、オーブンに入れて加熱調理。ものの5分で料理が完成。

 最後に胡椒をひと振りして終わり。


「早っ! もうできたの? しかもめっちゃおいしそう」

「実は玉ねぎは糖度が8もあって、苺並みに甘みのある食材なのです。チキンの旨味と玉ねぎの甘味があわさって、とてもバランスの取れた味わいになります。暁さん、一応試食をお願いします」

「うむっ!」


 ひと口食べて咀嚼して、飲み下して吠える。


「うまいっ! 出汁もよく出ててうまいな。シンプルだが癖がなくて食べやすい」

「いつもならスープにスパイスを少しくわえるんですが、スパイスがないので使ってません。でも素材がいいのでそのまま食べて十分おいしいです」

「よし、採用。ガレットはどうかな?」


 振り向くと、満面の笑みを浮かべた双子がガレットの乗ったお皿を持って現れた。


「キキたちが焼いたガレットに、国王様が好きそうな具材を乗せたよ!」

「オニオンチキンのボリュームが意外と多いので、ガレットは小さめに作ってみました」

「即採用! よし、国王様へのランチはこれで決まりだな。国王様は子供好きだから、キキたちが作ってくれたって聞いたら喜ぶぞ。それと、異世界の話しを聞きたがってるので、みなさんにも一緒に食卓を囲っていただけると助かります。無理は言いませんが」

「そんなまさかっ! とても光栄だわ。国王様とは必ず会いたいって思ってたから。前回はご公務が忙しいということでお会いできなかったもの。素晴らしいチャンスが巡ってきたわね!」


 ヘラさんが両手を畳むと、シェリーちゃんが頷く。


「ええ、異世界間交流をする前に使者として話しをしなくてはと考えていました。姫様、初の大役です」

「が、がんばりますっ!」


 シャルロッテ姫様の肩の荷をおろそうと、暁ちゃんが笑顔を向けた。


「大丈夫ですよ。失礼さえなければ、素の姫様のほうが好感を持たれると思います。リリス姫ですら、孫のようにかわいがりますから」

「『ですら』という言い方が引っ掛かりますが、それはまぁよしとして、私もめいいっぱい愛想を振りまいておきましょう♪」

「そういうところがあるから、『ですら』って言葉を使っちゃうんですよ」


 暁ちゃんもリリス姫の天真爛漫で傍若無人一歩手前の性格に疲れが隠せない。

 溜息をついた暁ちゃんが料理を楽しんだところで、彼女は俺にミッションを授ける。


「クロを部屋の隅でおとなしくさせておいてください」

「超頑張る」


 俺のほうが重労働そうなんですけど……。

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