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異世界旅行2-5 旬には少し早すぎて、だから今から待ち遠しくて 45

 一般市民のすみれちゃんでも、オーダーの微妙さを理解した。


「て、手抜き料理……。おいしくする自信はありますが、でも王様相手に手抜き料理……。手抜き料理とはいえ、手が抜けないんですけど…………」

「……………………国王様らしい、絶妙に微妙な難問だなあ」


 もはや哲学的難問。

 暁ちゃんは悩み、吹っ切れたようにふっと息を吹いて双子に聞く。


「キキ、ヤヤ、すみれの料理でおいしかった手抜き料理って覚えてる?」


 子供と酔っ払いは嘘を吐かない。

 古より伝わる古語に倣い、彼女は双子に希望を託した。

 キキちゃんは楽しい食卓を思い出す。


「手抜き料理…………キキからすると、全部おいしくいから手を抜いた料理って見たことないなー」

「私もキキと同じ感想です。すみれさんの料理はいつもおいしくって、朝も昼も晩御飯も楽しみです♪」

「すみれ、いつも本当にありがとうっ!」

「どういたしましてっ!」


 和気あいあいとしたやりとりにほんわかしてしまう。

 羨ましい。毎日毎回おいしい料理が食べられる。それはどれだけ幸福なことだろう。

 話しが逸れてしまったので、暁ちゃんはもう一度、双子にくわえてアルマちゃんにも話しを聞く。


「それじゃあ、シンプルな料理で印象的なものって覚えてる?」


 聞き方が上手い。印象に残った料理はつまり、おいしい料理に違いない。

 キキちゃんもヤヤちゃんも、アルマちゃんも料理を思い出して思い出し笑いが出る。


「印象に残ってるのはオニオンチキン。まるまる一個の玉ねぎと塩麹に漬けた柔らかくておいしい鶏の胸肉が、あまあまとろとろの玉ねぎと一緒に食べたらおしかった! スープもすっごくおいしくって、ぜーんぶ飲み干したんだ。玉ねぎにはね、好みでスパイスをふったり、とろーりチーズを足して味変したんだよ。あれとってもおいしかったなー♪」

「私は春に食べたホワイトアスパラガスと芽キャベツの炒め物。それと一緒に食べたオムレツが忘れられません。食感も味もよくて本当においしかったですっ!」

「アルマは断然、ガレットですね。毎回、使う食材が違うのでとっても楽しいです。生地は自分で焼くんですが、これが結構難しくて、だけどすごく楽しいです!」

「みんな本当に、素晴らしい食体験をさせてもらってるな。きちんとすみれにお礼を言ってるか?」

「「「もちろんっ!」」」

「よろしいっ!」


 暁ちゃんは三人の頭をなでなでしてやって、すみれちゃんに翻って聞く。


「すみれ、本当にいつもありがとう。ところで、今聞いた中ですぐに料理できそうなものはあるか?」

「材料があればどれもいけます」

「アイシャ、材料はどうだ?」

「オニオンチキンとガレットならすぐに用意できます」

「よし、今日のランチはオニオンチキンとガレットだ。すみれ、依頼を受けてもらえるか?」

「もちろんですっ!」

「それと、レーレィさん。ベレッタ。お二人にも協力してもらえますか?」

「「もちろんっ!」」

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