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異世界旅行2-5 旬には少し早すぎて、だから今から待ち遠しくて 42

 もふもふを後にして、俺の中での優先順位はクロちゃんをどう諭すか。人のものを壊しちゃダメって言って聞き入れるかなあ?

 次に魔銃。壊されたものは仕方ない。さいあく、パーツを取り換えれば復活可能。まだ完全に死んだわけじゃない。

 長年付き添った、愛着のある武器を見て涙がこぼれそうになるのをこらえ、さて新しい武器を観察しよう。

 魔鉱石の合金で作られた魔銃の外装は美しく輝くシルバー。握りの部分は皮が張り合わせられ、新品とは思えないほど手になじむ。デザインも機能的かつ未来的なデザインで超かっこいい。無駄な装飾は一切無し。必要なものだけを抽出した究極の美がここにある。

 ひゃあ~~~~、たまんねえぜえ~~~~♪


 新品の武器を前にして興奮冷めやらず、にへら笑いを浮かべる俺の前に暁ちゃんが座る。


「レオさん、なにやら楽しそうですね。クロといいことがありましたか?」

「え? いやー、クロちゃんとはまぁ、なんていうか、またやらかされちゃったけど、結果として新しい魔銃が手に入ったからいいかなーって」

「………………またやらかされた?」


 口を滑らせると、彼女は怪訝な顔をして溜息をつく。

 弁解しておこうか。


「知らぬ間に俺が預けた魔銃を分解して、それを工房の職人に見せたんだって。そうしたら俺が持ってた武器より数倍強力な銃になって帰ってきたってわけ」

「帰ってきてはないですよね?」

「――――えっ……とー………………それはまぁ、修理すればいいだけだから」


 そう言うと、彼女は美しい格天井を見上げて溜息をつく。

 格天井には四季折々の花々が描かれていて、あたかも聖堂の中にいるように思えた。身近に芸術作品があるって大事なことだよねー。


「いやー、食堂の天井もそうなんだけど、泊めてもらってる部屋もすごく綺麗で芸術的だよねー」

「それはそれとして」


 大剣豪が如き切れ味で話しをばっさり切られた。

 次に出てくる言葉は間違いなくクロちゃんのこと。さて、どうしたものか。


「まずはシーサーペントの討伐、ご苦労様でした。みなも食料が増えたと喜んでおります。シーサーペントの肉は扱いやすく、どんな料理にも使えるので非常に重宝します。特に干し肉は保存が効き、味に旨味が出るので、炙って食べるだけで主役の料理になるほどのものです。今干し肉を作らせてるので、お帰りの際にはぜひともお持ち帰りください」

「本当に? それは嬉しいな」

「ところで、クロの件ですが」

「やっぱり無視されないか……」

「無理ですね。ギルドマスターとして、いくら彼女が望んだこととはいえ、これからしようとすることの重大さを鑑みると無視はできません」

「異世界間交流。それを考えたらクロちゃんの非常識はあまりにも度が過ぎてるもんなあ」


 お互いの溜息がぶつかる。先々のことを考えると頭が痛い。

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