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異世界旅行2-5 旬には少し早すぎて、だから今から待ち遠しくて 39

 シーサーペントは倒した。俺たちが倒したものについては、頭部がめちゃくちゃになって素材としては使い物にならなくなってしまった。身は切り出して焼けば食肉になるか。

 巨大なシーサーペントを前に、ヘレナちゃんは輸送用テレポートの簡易魔法符(インスタントマジック)を貼り付けて後処理にかかる。

 巨大な素材を瞬時に移動できる。このインスタントマジックだけで巨万の富みが得られるだろう。

 魔剣にしてもそうだ。魔剣を普段使いする冒険者ですら見たことのない威力のウェポンスキルを発動させてみせた。サンジェルマンさんの技量と魔剣の性能があっての威力。さすが俺たちの世界が誇る英雄である。


 近くにモンスターの気配がないことを確認して円陣を組んだ。

 これからの行動を決めよう。

 仕事人モードに戻ったシェリーちゃんが話しを切り出す。


「サンジェルマンさんが持つ魔剣の威力の視察ということでしたが、一撃で仕留めるとは恐れ入りました。ですが逆に、あの一撃だけでは情報不足ですね。対モンスター戦での試験はここまでにして、サンドバッグにウェポンスキルを叩きこみますか? 幸い、人もモンスターもいない階層がありますので」

「そうだね。僕も本気のスラッシュを放ったら、ここまで威力が出るとは思わなかったよ。モンスター相手もいいけど、ストーンウォールを用いたサンドバッグのほうがいいかもしれない。ところで」


 サンジェルマンさんが言葉を濁すと、全員が俺を見た。

 サンジェルマンさんが俺の両手にある銃を指さして質問を投げかける。


「普段使ってる魔銃と全く違うよね。いつの間に改良したんだい?」

「こ、これは……」


 改良したっていうか、勝手に壊された挙句、勝手に資料にされて知らない間にアップグレードされてたんですけど……。事実をありのままに告白するか。でもそれだとクロちゃんの立場が危うくなる。

 旦那としてそれは避けたい。なんとかして、嘘じゃないけどーーー的な感じで誤魔化したい。


「コイツが持ってた銃を分解して調べてもっといいもんを作った」


 自白したーッ!?

 これを聞いたシェリーちゃんとサンジェルマンさんは硬直。

 見慣れた景色を見てしまった冒険者たちは溜息をついて肩を落とす。

 会話のきっかけを作ろうと、ノイマンさんが重い口を開いた。


「それで一瞬もたついておったのか。なにか不具合でもあったのかと……いや、不具合は、あったわけだが。なんにせよ、見事に討伐されたな。これ以上、モンスター討伐をしないなら小生は解体場(台所)へむかおうと思うのだが、みなの衆はどうする?」


 どうすると聞かれて、サンジェルマンさんが答える。


「そうだね。ひとまず離脱するとしよう。個人的にはモンスター討伐を続けたいが、慣れない場所での戦闘は危険だ」


 ひと呼吸ついて、サンジェルマンさんはシェリーちゃんを見た。離脱と聞いた瞬間、彼女は周囲を見渡してふわふわきゃっとを探す。

 彼女がもふもふした子は木の影に隠れてこちらを見ていた。再びもふもふされたくてたまらないという様子。

 一応の魔剣の試験は完了した。癒しに飢える騎士団長に万全の状態でいてもらうため、サンジェルマンさんは忖度する。


「それじゃ、戻るとしよう。魔剣の性能テストについては後日、こちらの世界でも試験するとしよう。幸いなことに魔剣の熟達者が移住してくれるということだからね。魔銃の試験もしなくっちゃ」


 サンジェルマンさんは白い歯を見せて笑顔でサムズアップ。

 魔銃の試験はいいんですけど、まずこの魔銃がどういうものなのかを調べないとね。

 そういうわけで、俺はクロちゃんと一緒にデートしようと思います。

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