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異世界旅行2-5 旬には少し早すぎて、だから今から待ち遠しくて 31

 眼前に広がる湖を前にして、空中にふわふわと浮かぶ巨大な綿毛がある。

 白、茶色、三毛、黒。どれもふっわふわのもっこもこ。吸い込まれるように、シェリーちゃんが一番近くの綿毛に近寄って腕を伸ばす。が、意思のある綿毛は人間から離れていく。S極の磁石にS極が反発するように、シェリーちゃんがいくら求めても空を自由に泳いで霧散した。

 みるみるうちにシェリーちゃんのオーラが沈んでいく。

 お気の毒に。

 気をそらすためにシーサーペントの話題を振り返ろう。


「それにしてもでっかい湖だな。まるで海みたいだ」

「シーサーペントは湖に生息するが、蛇みたいに動いて陸上を移動することもできる。引きずりだして陸上戦に持ち込むのがマストだ」

「弓で殺せばいい」


 俺と虎丞の背後から声が聞こえた。クロちゃんがさも当然のことのように呟いた。

 虎丞は彼女を親指で指さして言う。


「こいつは非常識だから」

「あ、うん。それは知ってる」


 どうやら彼女は弓で殺せるらしい。そして普通の冒険者は弓で攻撃しようだなんて思わないらしい。

 さて、シーサーペントは体表の雑菌を殺菌するためか、ただたんに好きなのか、太陽の出る昼間に水面に出て日光浴をするらしい。

 シーサーペント日和の晴天。しかしまだその時ではないようだ。簡単に戦闘のおさらいをしよう。


「サンジェルマンさんとシーサーペントを1対1にするために、俺たちはヘイト受けと助攻が専門。シェリーちゃんは防御専門で立ち回り。ヘレナちゃんが援護と防御。俺とクロちゃんが右側で補助。虎丞とノイマンさんが左側で補助」

「絶対にクロに暴れさせるなよ」

「わ、分かってるって……」


 チームワークに関して、クロちゃんは全く信用されてない。

 俺がなんとかしなくては……。

 ちなみに、作戦会議中もクロちゃんは全く人の話しを聞いてない。一応、面と向かって話しをするのだが、理解してるのかどうか分からない返事しかしない。

 彼女は現在絶賛修行中。魔法の練度を上げるため、手のひらに発生させたファイヤーボールを維持、魔力を注ぎながら密度を高め、ファイヤーボールの大きさを変えずに威力を上げる圧縮訓練を続ける。

 ダンジョンに入ってから始めた。

 圧縮訓練を始めて20分くらいが経つ。

 見ただけでわかる。これもうたいていの生物を丸焼きにできる威力に達してる。

 きっと彼女はこの一撃でシーサーペントを沈めようと考えてるのだろう。

 数種類の魔剣を操るだけでなく、魔法の威力も魔力の練度も超一級の魔術師クラス。こんな人に暴れられたら、そりゃ大惨事ですわな。

 とにかく、クロちゃんは俺の言うことをそこそこ聞いてくれるのでよしとしよう。

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