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異世界旅行2-5 旬には少し早すぎて、だから今から待ち遠しくて 28

 サンジェルマンさんは少年の心を忘れない中年。

 シェリーちゃんは以前、暁ちゃんに詭弁を呈してダンジョンに潜った経緯があってあまり乗り気ではない。全力を出して魔剣の性能テストをするだけなら、モンスターの出ない階層で威力判定用のストーンウォールにウェポンスキルを放てばいい。

 それも正論だ。

 しかし魔獣退治が前提なら、やはり相手はモンスターのほうが適任。という理由で冒険者を伴ってモンスター退治に出かける。

 先日は俺が主役だったからサンジェルマンさんは助攻に徹した。今回はサンジェルマンさんが持つ魔剣が主役。なので、うきうき気分で満面の笑みを浮かべた。


 ところで、と話しを切り出したのはヘレナちゃん。視線の先には俺がいる。


「レオさん、ですよね。噂で聞いたんですが、クロさんとご結婚……されたんですか?」

「まだ婚姻届けは出してないけど、お互いは納得のうえだし、初めての共同作業は済ませてあるよ」

「はっ!? 初めての共同作業ッ!?」


 赤面してうつむく少女の初々しいことよ。

 まぁ、あれは共同作業っていうか、共闘作業って感じだったけど……。あと、必死すぎて全然楽しくなかった。

 甘いのか苦いのかよく分からない思い出を隅に置いてみると、虎丞とゴードンとノイマンから同じ言葉が投げられる。


「嫁になったなら、旦那が嫁さんの手綱をしっかり握ってろよ」

「クロは強えが話しを聞かねえからな。ちゃんと飼いならせよ」

「こう言っては申し訳ないが、暴れられると手がつけられぬ。しっかり面倒をみてくれ」


 全員、クロちゃんのことを猛獣かなにかだと思ってるみたい。思い当たる節しかないから反論できねえ。

 反論する代わりに12層について、もう少し話しを聞こう。


「12層のグッドラックって場所にはシーサーペントがいるってことだけど、ほかにもモンスターっているの?」


 ヘレナちゃんに聞くと答えはイエス。

 様々な不思議モンスターが生息する。


「翼を広げると10メートルほどの大きさになる怪鳥スカイバードがいます。これは風魔法を使ってくるうえ、空を飛んでるので討伐難度が高い部類です。物理、魔法に対して防御力は低いので、魔法で翼を打ちぬければ袋叩きにできます。ドラゴンもいますが、生息域がまったく違うので、これは心配しなくていいと思います。あとはふわふわきゃっとですね」

「ふわふわきゃっと!?」


 猫と聞いてシェリーちゃんが前のめり。

 瞳をきらきらと輝かせてもふもふしたいとオーラが叫ぶ。

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