異世界旅行2-5 旬には少し早すぎて、だから今から待ち遠しくて 24
彼女の献血が終わると、今度はニャニャ先輩の腕に針を刺して献血を始める。
血を抜かれ、戻されてまた血を抜かれる人を初めて見た。
今度はローザさん主導の献血だから400ミリリットルで済んだ。正直、私やニャニャ先輩の体格から言って、400はちょっと多いけど……。
「さて、ここにいる人の分はこれで終わり」
「ここにいる人の分!?」
「ここにいる人の分♪」
ローザさんが驚きの発言をかました。
私は驚き、ブラードさんはわくわくが止まらない。
ここにいる人の分はこれで終わり。どういうことか。
「このままだとブラードにミイラにされかねないから、ほかの人たちにも犠牲になってもらいましょう。一人当たりの採血量を減らして存命を計りましょう」
「犠牲にッ!? 存命を計るッ!?」
「ブラード、ほかの異世界旅行者の血も献血していいけど、一人あたり400ミリリットルまでにしてね。あんまり献血しすぎてティーパーティーに参加できなくなると、フェアリーやセチアさんたちに迷惑がかかるから。ちなみに、血気盛んな連中はダンジョンで討伐任務に出てるんだって」
「わっかりましたあー! それでは、ダンジョンに行ってきまーすふうううううううううううううううううううーーーーっ!」
元気に走り出す赤毛の吸血看護師の背中を見送ったローザさんが、自信満々のやりきった感のある笑顔を見せてくれた。
「よし。これでわたしたちは安全になった」
「私たちは…………」
ほかの人たちは……なんて言葉にできなかった。
ごめんなさい。シェリー騎士団長。サンジェルマン副騎士団長。レオ副騎士団長。そっちに吸血看護師が向かいます…………。




