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異世界旅行2-5 旬には少し早すぎて、だから今から待ち遠しくて 17

 囲いの中には色とりどりのスライムがもちもちと動く。ソフトボールくらいの大きさのカラフルな水饅頭のようだ。動かないもちもち。じゃれあうかのように重なるもちもち。囲い伝いに動き回るもちもち。いろんなもちもちがもちもちしてる。

 ちょっとかわいいかもしれない。


「こちらがスライムの取扱説明書です。命令書にもなってます。簡単ですので実践してみてください」

「ぜひっ!」


 と、言って説明書を受け取ったのは私ではない。ローザさんだ。

 すごい。なんの躊躇もなくスライムの取扱説明書を受け取るだなんて。私は脊髄反射的に返事することができなかった。だけど仕方ないんじゃないだろうか。だってスライムだもん。私からすれば未確認生命体だもん。躊躇するのは仕方ないことだもん。

 困惑と驚きを抱く私の隣で、ローザさんは興味深そうにスライム本を読む。


「ふむふむ。基本的に人間のような知性はないけど、命令することで指示通りの動きができる、と。命令する人間の想像力の確かさでスライムの動きを正確にコントロールできる、ですか。練度次第ではいろんなことができそうですね。話しでは手術中の疑似血管を作れるということですが」

「おっしゃる通りです。部分的に止血することもできますが、疑似血管を作ってあげれば、体循環する血液量を減らさなくて済みます。おかげで術後の回復がとても早いんです」

「それは本当に素晴らしいことですね。ほかにはどんな使い方をされるのですか?」

「手術においては、疑似血管作成、各種臓器の代替、心臓マッサージなどです。ほかにも食事を胃に流してもらったり、排便がうまくできない人の補助をしてもらったりと、いろいろと活躍してもらってます」

「すごいですね。メリアローザに古くからある方法なんですか?」

「ごく最近です。メリアローザの郊外によく出没するスライムを調教してくださった方がいらっしゃるんです。その人が技術を提供してくださったんです」

「それはすごい。ぜひとも直接お話しがしたいです」

「ごめんなさい。その人は外国の人で、もうメリアローザにはいないんです」

「そ、そうですか……。残念です」


 残念……かなあ…………。

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