異世界旅行2-5 旬には少し早すぎて、だから今から待ち遠しくて 15
以下、主観【リリィ・ポレダ】
朝食を食べ、にゃんこさんたちをもふもふし、薔薇園でひと休みした私はローザさんと一緒に病院へやってきた。王城の隣に併設してある王立病院。ベルンにある病院と同じ消毒液の香りが漂う。
木とレンガ。漆喰などで作られた病院は清潔そのもの。窓もたくさんある。風通しもよく、陽の光が室内にたっぷりと入り込む。身体的にも精神的にも配慮された空間作りがなされている。
ローザさんと一緒に病院の総合受付に向かう。暁さんによると話しを通していてくれて、病院の内部を見学させてくれるとのこと。
しかし、どういうわけかみんな、病院へ見学へ行くと言うと顔色が芳しくなかった。
その理由をさっそく知ることになる。
受付の赤毛の少女が笑顔で対応してくれた。
「ではまずは献血をいたしましょう。ローザさんはお久しぶりですね。今日こそは献血いたしましょう♪」
「今日こそは?」
疑問を打ってローザさんを見ると、苦笑いをして赤毛の少女の隣にいるナースに目配せをする。
紫色の髪をした女性が立ち上がり、吸血ナースの肩を叩く。
「ブラード、ローザとリリィは病院の見学でしょ。久しぶり。それから初めまして。私はラララ・ランドグース。よろしくね。ブラードは献血が大好きなの」
「献血が大好き!?」
「だから襲われないように気を付けてね♪」
「襲われないように!?」
「それでは行きましょうか」
大丈夫なのか、この病院!?
「せっ、せめてお二人の血液ちゃんを見せてくださいっ!」
「血液ちゃん!?」
なに言ってんだ、この子!?
「もう、手早くね」
「ラララさん!?」
つっこみの口が止まらない。ローザさんは諦めたように微笑んで、自分の腕をブラードさんに差し出した。




