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異世界旅行2-5 旬には少し早すぎて、だから今から待ち遠しくて 13

 暁さんはこれでおしまいと、言葉を切ってシェリーさんとサンジェルマンさんを見た。

 お二人からの話しはありますか。そういう視線を送る。

 合図を受け取って、シェリーさんが答えた。


「ひとまず、こちらはこちらで詳しい話しを聞かせてくれ。ニャニャが関係してるみたいだし。ペーシェにも悪いが、あとで詳しく話しを聞かせてくれ。君のことも含めて、な。異世界間交流が破綻してはペーシェも困るだろ?」

「げっ……はい…………」

「大丈夫だ。守秘義務は守るよ。サンジェルマンさんからは何かありますか? って、なにもないわけないですよね」


 そりゃ父親ですもんね。

 バティックの英雄がめちゃくちゃ不安そうにそわそわしっぱなしですもんね。

 取り乱しそうな心を抑え、サンジェルマンさんは娘に聞く。


「ケガとかない? 魔法の反動とか、なんかそういうの大丈夫? すっごく禍々しくて邪悪な黒い魔力に包まれてたみたいだけど」

「禍々しくて邪悪は余計じゃい! あれも含めて、あたしはあたしのことを気に入ってるの。余計な口出しはノーサンキューッ!」

「そ、それならいいんだけど……」


 娘さんは自己肯定感と正義感の強い素敵な女性に育ったようです。

 それでもやはり父親。娘のことが心配で仕方ない。


「あとできちんと確認させてね。グレンツェンに帰ったら検査にも行って」

「大丈夫だって! あーちゃん師匠にも太郎さんからも問題無いって言ってもらったから」

「うぅむ……暁くん。あとで太郎さんとあーちゃん師匠という人のことを聞いてもいいだろうか」

「構いませんよ。太郎さんは太陽のギルドメンバーですし、肉霊芝の話しも聞きたいので今日の晩飯に呼ぶつもりです。黝もギルメンですが他国にいてここにはいません。彼女のことはあたしの口からということになります。それと、黝とハティは大親友なので、彼女からも聞いてみるといいですよ」

「そうか。サンジェルマンさんはあとで娘に話しを聞くということだから、その時に太郎さんとも一緒に話しを聞きたい」

「あたしは構いませんよ。ペーシェとシェリーさんも晩飯のタイミングでいいですか?」

「私はそのタイミングで構わない」

「あたしもそれで。できればサーモンが食べたいっす」

「サーモン、本当に好きだな…………。伝えておくよ。それじゃ、あたしたちはこのへんで失礼しよう。と、言うわけで、陽介さんも戻りますよ」

「えぇ~~~~! そんなあ~~~~!」


 魔法大好き七尾陽介さんが暁さんに引っ張られて帰って行った。

 ミーケさんもヴェルダンさんも彼らに続く。


「みんにゃが無事にゃらそれで良かったにゃ。それじゃ、あたしたちもお暇するにゃ。今度よかったらご飯を一緒にしようにゃ♪」

「大事ないならそれでよし」


 3人はさっぱりと引き上げ、1人はずるずると引きずられて行った。

 シェリーさんも、これから魔剣の実地検証があると言って、娘を心配するサンジェルマンさんの腕を鷲掴みにして引き上げていく。

 ペーシェはなにごともなかったかのように天鬼童子の頭を膝に置いてリラックスモード。

 ベレッタさんは、『これからどうしようか』という表情をしてアルマを見つめる。

 アルマはちょこちょことニャニャに歩み寄る。そしてニャニャに耳打ちをした。


「ところで、ドラゴンブレスはどうでしたか?」


 それ、今聞く!?

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