異世界旅行2-5 旬には少し早すぎて、だから今から待ち遠しくて 9
天を割く黒い光線がレッドドラゴンめがけて発射される。
生存本能のまま回避!
全力で回避!
当たったら死ぬ!
レッドドラゴンが傷ついたらヘラさんが泣く!
一ミリたりとも触れられない!
自分が上に向かってるのか、下降してるのかも分からないくらい必死に飛び回って回避する。
砲撃が終わると、太郎さんとペーシェの肉弾戦が見えた。
拳に魔力を乗せてガードと攻撃を同時に行う。
息の合ったコンビプレーで天鬼童子を圧倒。徐々に体力を削り取る。
「やべえ! 羽衣のリジェネ効果が強すぎる! 魔力の消費量も半端ないんだろうけど、これじゃいつまで殴っていいかわからん!」
そうでもなかったらしい。
太郎さんの肌に冷や汗が伝う。
「いやぁー参りましたね。まだまだ童子だと思ってましたが、いやはや子供の成長は早い!」
笑ってる場合ではないのでは?
原因はニャニャにあるので、とてもつっこむことなんてできないけど。
どうすればいいか。なにをすればいいか。援護射撃といえど、2人が肉迫しすぎて援護射撃が難しい。魔法をぶっぱなしたいアルマがイライラで今にも爆発しそう。仲間ごと打ち抜きそうで怖い。
手をこまねく太郎さんがペーシェに作戦を伝える。
「ペーシェさん、こうなっては仕方ありません。コメディック・ホラー・ワールドで叩き潰してあげてください!」
「えぇーっ!? 祈にひどいことしたくないけど、まぁ仕方ないか。でもあたしの魔法の威力は祈に減衰されますよ? あたしの火力で足りますかね?」
「それなのですが、誰かの魔法を受け取ることはできますか? 重ね合わせるか、他人の魔法で貴女の魔法を包むようにすれば、威力の減衰を抑えられるはずです」
「その手がありましたか。なんとかやってみます! ニャニャ!」
「にゃっ!?」
突然名指しされて変な声が出た。動揺する間もなく、ペーシェからオーダーが入る。
「空を飛んだまま、ドラゴンブレスって吹ける? 祈にぶつけたのと同じかそれ以上のやつ!」
「な、なんとかやってやるですッ!」
「オーケー! 信じてるよ!」
ひと呼吸おいて、ペーシェの体が黒く染まる。
「理不尽世界ッ!」




