異世界旅行2-5 旬には少し早すぎて、だから今から待ち遠しくて 8
ペーシェはなにか知ってるみたい。彼女の視線の先を見ると、ドラゴンブレスを受けて真っ黒になったらしい幼女がいた。黒こげが原因で真っ黒いのではない。黒い魔力が超高密度で漏れ出ているのだ。
当然、殺気も全開である。
謝って許してくれるだろうか。無理そうだな……。
「あの、太郎さん。謝っても許してもらえないやつ……です?」
「ひとまず命に別条はないようです。祈は暴走状態です。力尽きればおとなしくなります。それと、ああなった祈はとても強いので、戦える人以外はこの階層を抜けてギルドに伝えてください。私レベルの冒険者をできるだけ連れて来ていただきたい」
「え、この流れって、彼女と戦わないといけないです!?」
「そうなりますねえ。まずは私が先頭に立ちますので、みなさんは補助と援護射撃をお願いします。ペーシェさんも手伝ってくださいね」
「ぐあっ! まさかの名指しで強制参加! まぁ、祈ちゃんのためなら仕方ない」
いきなりの戦闘開始!
非戦闘員のすみれがゲートに走る。
ベレッタさんはホワイトドラゴンに乗り、天空から援護を試みる。
ペーシェと戦闘態勢の太郎さんが内燃系魔法を燃やして彼女にインファイトを仕掛けた。
アルマは遠距離から砲撃準備。
ニャニャはレッドドラゴンに乗って退避。
ちなみに、パワードを使った太郎さんの身長が2倍に、体積が8倍以上になって筋肉ムキムキのハ●クみたいになる。怖っ!
祈ちゃんと呼ばれた黒い塊は鼻をすんすんさせて空を見上げる。否、ニャニャの乗ったレッドドラゴンを睨む。
殺気を受け取った瞬間、全身に鳥肌が立った。
ヤバい。狙われてる。魔力探知により、ドラゴンブレスの発生源を特定。躊躇も容赦もなく真っ黒いビームを照射してきた。
「にゃああああああああああああああああああああッ!?」




