異世界旅行2-4 世界は驚きの宝箱 47
~おまけ小話『サプライズ』~
ラム「今日はサプライズがたくさんあったなー♪」
インヴィディア「そうね。本当にたくさんの驚きがあったわ」
ミレナ「長生きしていても、まだまだたくさんの驚きがあるものなんですか?」
インヴィディア「それはそうよ。私の友人の言葉を借りるなら、『死んでる場合じゃない』ってところね。別れもあるけど、それ以上の出会いがあって、出会いの分だけ驚きがあって、楽しみがある。とっても憧れることだわ♪」
ラム「分かります! 私もバルを経営してるので、スタッフの出入りがあるわけですけど、出会いの数だけ新しい毎日があるんですよ。昨日会った人でも、今日会うとまた違った明日になる。毎日がわくわくですわ♪」
インヴィディア「ええ、貴女の言う通りだわ。私だってドラゴンに乗って空を飛ぶなんて、1000年このかた無かった体験だったわ。ドラゴンを討伐したうえ、剥製にして従えてしまうなんて」
ラム「ドラゴン、本当に楽しかったですね。宙返りした時は生きた心地がしませんでした」
ミレナ「ファンタジーの世界の住人だと思ってたドラゴンを生で見て触って乗れるなんて、今に生きててよかったって思ったよ。想像以上にでかい爬虫類って感じで驚いたね。はっ! ドラゴンスケールの腕時計とかよくない? ベルトの部分を鱗状にすんの。本物を見たからよりリアルなドラゴンスケールにできるはず!」
ラム「さすがミレナさん。職人気質がすごい。私はすみれが見つけてくれた黒トリュフが一番嬉しかったかもですね。あんなに贅沢に新鮮な黒トリュフをふんだんに料理に盛り込んだのは生まれて初めて!」
インヴィディア「それなんだけど、黒トリュフって養殖できるのかしら。メドラウトでも普及させたいわ」
ラム「実例はありますが、それもまだ実験段階で、しかも相当な年月をかけたということです。可能ではありますが技術をお伝えできる段階ではありませんね」
インヴィディア「つまり、メドラウトで黒トリュフの養殖技術を確立することができれば、メドラウトから技術を発信できるということね。これは研究してみる価値がありそう」
ヘラ「おぉっ! それはとても助かります。グレンツェンでも黒トリュフは大人気なので、ぜひとも人工栽培できるようになりたいものです。ちなみに、白トリュフも人工栽培には成功してます」
ミレナ「急に現れた。来そうだとは思いましたけど」
インヴィディア「人工栽培が成功してるなら概要だけでも教えてほしいです。可能ですか?」
ヘラ「異世界間交流が始まってからなら大丈夫なはずです。お任せ下さい!」
ラム「トリュフと言えば、料理法も大事ですよ。というわけで、料理に関しては私に任せてください!」
インヴィディア「頼もしいわ! お昼に食べたパスタやサラダに使ったような方法以外にも、いろんな調理法があるのよね?」
ラム「トリュフは料理の付け合わせのほかに、オリーブオイルに漬けたり、細かくして塩に混ぜたり、チョコレートとも一緒に食べるんですよ」
インヴィディア「キノコとチョコレートを一緒に使う!? それはまったく想像の外だったわ。異世界はいろんな使い方をするものなのね」
ラム「よく考えたら、キノコとチョコレートをよく一緒に使おうと思ったなあ」
ミレナ「当たり前すぎて考えもしなかったなあ」
ヘラ「チョコレートもいいけど、金粉被りのカブトムシが気になるわ。全身きんぴかの虫なんてなかなか現れないもの」
インヴィディア「白い動物は見たことあるけど、金色の虫は初めて見た。世界にはいろんな生き物がいるものなのねえ」
ヘラ「世界にはいろんな動物がいますよ。エルドラドに図鑑を寄付したので見てみてください。もっと見たいならグレンツェン大図書館に来てください。きっととっても驚きますよ」
インヴィディア「ヘラさんがいる世界にも驚きがたくさんあるのね。必ず行きますよ」
ラム「であれば、うちのバルにも来てください。いっぱいおもてなししますから♪」
インヴィディア「本当にありがとう。シルヴァはパティシエってことだけど、彼女のお店も近くにあるのかしら?」
ミレナ「セントラルステーションから電車を乗って、少し歩いたところにありますよ」
インヴィディア「で、でんしゃ……?」
ミレナ「あ、そうか。こっちの世界には電車がないんだった。まぁとにかく、図書館から少し離れたところにショコラはありますから、そんなに時間をかけなくてもスイーツを食べられます」
インヴィディア「それはよかった。私も甘いものも大好きだから――――――ちなみに、コーヒーを出す店ってあるのかしら? (ぼそっ」
ヘラ「シエスタっていう、コーヒーとスイーツがとってもおいしいお店があります。ほかにもコーヒーのおいしいカフェがたくさんありますよ(ひそっ」
クラリス「ハーブティーのおいしいお店はありますか? (すわっ」
インヴィディア「ふわぁっ!? びっくりするじゃない!」
ヘラ「アラヴァミンマイという、ハーブティーや紅茶とスイーツのおいしいお店があるよ。ゆったりした時間を楽しむのにぴったりの場所」
クラリス「わぁ~っ! 私もインヴィディアさんと一緒にグレンツェンに行きたいですっ!」
インヴィディア「え、ええ……そうね…………」
ラム「そんなに執拗に牽制しなくても…………。びっくりと言えば、セチアの工房の裏庭の湖の睡蓮が本当に綺麗でしたね。蓮の花が一緒に咲く景色も見たかった」
ミレナ「あれは本当にすごかった。神話か童話の世界に迷い込んだかのようだった」
インヴィディア「本当に素敵な景色だったわ。睡蓮の種を譲ってもらえるか相談してみるわ」
ヘラ「種からもいいですが、睡蓮は株分けで増やせるので、そちらのほうがいいかもしれません。それより、綺麗な水とその環境を整えるほうがたいへんなので、まずはそちらを考えたほうがいいでしょう」
インヴィディア「教えてくださってありがとうございます。メドラウトの郊外に綺麗な水が流れる川があるから、水を引いて湖を整備しましょう」
クラリス「綺麗な花を咲かせるハーブ園と、フラウウィードのようなカフェも建造して、いつでもティータイムを楽しめるようにしましょう!」
インヴィディア「…………クラリス、もういっそそこに住んでいいわよ?」
ラム「最初に会った時のクラリスと、今のクラリスが別人に見えるのって私だけですかね?」
ミレナ「あたしもそう見える。でもそもそも、彼女のことをよく知らないし、最初は知らない人たちばかりで緊張してたんじゃない?」
インヴィディア「んーーーー………………普段の彼女の性格は、もう少し控え目だったと思うんだけど。それもこれも、私がコーヒーばかり飲んで、彼女の心をないがしろにしてしまったからなのかしら? はぁ…………」
ヘラ「―――――ベレッタちゃん、もしかして無意識にユニークスキルを使ったんじゃ?」
メリアローザという異世界を堪能したラム・ラプラス一行。
異世界でしか体験できない経験に、秋の味覚を堪能した彼女たちは楽しく4日目の旅行を終えました。
特にすみれの暴れっぷりは半端ではありません。エルドラドだけでは飽きたらず、メリアローザの山を全力で楽しみたい彼女は山菜にキノコに果物に目移りするばかり。翌日は太郎と一緒に肉霊芝探しです。
次回は、肉霊芝探しをする近くでドラゴンブレスに興味津々のニャニャと、異世界の医療技術に関心のあるリリィ、惚れた女に大火傷する予言を受けたレオ・ダンケッテ主観でお届けします。
魔獣絶対ぶっ殺すウーマンのニャニャはアルマと同じで高火力が大好き。ドラゴンブレスといかなくとも、同様の魔術機構を作れば、より多くの魔獣を確実に倒せると期待に胸を膨らませます。
リリィはスライムを使った施術にどきどきとわくわくを携えて魔界と呼ばれる病院へ、ローザとともに赴きます。
レオは超問題児の嫁とともに、魔剣の性能を現地で試すため、シェリー、サンジェルマン、冒険者数名とダンジョンへ登ります。
さて、彼らに待ち受ける運命やいかにッ!




