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異世界旅行2-4 世界は驚きの宝箱 46

 青ざめる二人と、技をかけられてぐったりするリリス姫を置き去りに、暁はシルヴァに言葉を投げる。


「シルヴァはセチアの工房でスイーツ作りか?」

「はい、できれば。メルティさんと一緒にスイーツ作りをしたいので、最初にフラウウィードに向かう予定です」

「はわっ!」


 スイーツ作りとフラウウィードの名前を聞いたクラリスが小さな感嘆符を奏でる。

 暁はシルヴァとの会話を続けた。


「それならメルティさんに書置きを残しておこう。それと、スイーツ作りもいいが、市場に行って秋の食材や果物を見てみるといい。なにか面白い発見があるかもしれない」

「それはぜひとも見てみたいです!」

「それと、フラウウィードにも果物が自生してるらしいな。まだ未探索エリアばかりだから確証はないが、あけびもあったって話しだし、すみれと一緒に自然の恵みを採りにいくといい。空飛ぶ魔法の絨毯…………それこそ、ドラゴンに乗ってピクニックなんてアリなんじゃないか?」

「自然から直接もぎとるくだも…………今、すみれと一緒って?」

「素晴らしい秋の恵みを探しましょう! 世界の果てまでっ!」

「スイーツを作る前に体力が尽きちゃうっ!」


 すみれと一緒の食べ物散策はわりとガチで命がけだからな……。

 わくわくするすみれのわんぱく光線が眩しすぎる。

 シルヴァは苦笑いしながらすみれのわくわく光線をふわりとかわす。


「わ、私はスイーツ作りがメインだから……。ティーパーティーにたっくさんスイーツを用意しておくから、楽しみにしていてね♪」

「ぜひともお願いしますっ!」


 シルヴァが安堵の溜息を漏らす。

 まだ話しをしてないのはシェリーさんだ。ちなみに、レーレィさんはサンジェルマンさんと夫婦一緒に寝てるのでここにはいない。

 枕を拾って彼女にむかって投げると、申し訳なさそうな顔をしてみんなを見渡した。彼女は爆睡する姫様を布団へ押し込んだところだった。


「申し訳ございません。話しを切り出した姫様が寝てしまって……」


 シャルロッテ姫様は本当にいい寝顔でいらっしゃる。今日までの旅行がとても楽しかったのだろう。幸せそうでなによりである。

 彼女の姿を見たインヴィディアさんが小さく笑った。


「うふふ。相変わらず天真爛漫なのね。もうすっかり夜も深けたし、私たちも明日に備えて寝ましょうか」

「「「「「賛成っ!」」」」」


 言葉を並べて布団に入りながら、明日も楽しみだと妄想に耽る。

 布団に入る前に小窓を少し開けて夜空を見てみよう。秋の夜を彩る満点の星空の大合唱が聞こえるようだ。きらきらと瞬いて、世界が喜びに満ちていると教えてくれる。

 さぁ、明日もきらきらの宝箱を開けに行こう。

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