異世界旅行2-4 世界は驚きの宝箱 37
秋だからか、空気の綺麗な異世界だからか、雲ひとつない空には満点の星が謳う。
きらきらと瞬いて、昼のように明るい夜は幻想的で、今日の素晴らしい出来事を祝福してくれているようだ。
露天風呂にぷかぷかと浮かぶ金色の果実を手に取って空へかざす。お月様のような姿の柚子の香りが心地いい。
はぁ~~~~、今日も超楽しかったなぁ~~~~♪
「ラムさーん! 明日、肉霊芝を見つけにダンジョンへ行きませんか?」
体力無限少女が元気いっぱいな笑顔で現れた。
彼女と一緒にいるのは楽しい。けれど、さすがにヒットポイントを回復しないと倒れるかもしれない。旅行と思ってはしゃぎすぎた。
「ごめん。明日は少しゆっくりしたいんだ。西側の、ラ・ミストルティンがあった方面に行こうと思う。ドラゴンテイルに調理機材も見に行こうと思ってる」
「猫の街はカラフルでとっても楽しいですよ。龍の街は工房がたくさんあって、どこを見ても飽きないです」
すみれの話しが聞こえたのか、ロリムが隣にやってきた。
「もしよろしければ街の案内をいたしましょうか。不慣れな土地は不便でしょう」
「ありがとう。それじゃあ頼むよ。すみれ、誘ってくれてありがとう」
「いえ、また今度ご一緒させてください」
寂しそうに微笑むすみれに罪悪感がなくもない。
なくもないが、彼女のバイタルについていこうとすると命にかかわる。
明日はゆっくり街を散策して、買い物をして、ハーブティーとスイーツを楽しんでまったりするのだ。
明日も明日とてフェアリーに癒されるのだっ!
温泉卵と熱燗をロリムからもらって一献。
くぅ~っ!
たまらんですな!
幸せの溜息に誘われて、暁が隣にやってきた。
「メリアローザを楽しんでくださってるようでなによりです。今回新たに採取した黒トリュフの使い方も教えてくださって、本当にありがとうございます」
「いやいや。こっちこそ楽しい体験をさせてもらって感謝しかないよ。まさかドラゴンに乗って空を飛べるだなんて想像もしてなかった」
「そちらの世界にはドラゴンはいないんですよね。ヘラさんへのプレゼントに異世界に送るつもりなのですが、一般人がドラゴンを見たらどう思うと思いますか?」
「それは……剥製だし、生き物じゃないから歓迎されるんじゃないかな。少なくともグレンツェンではアイドルになるかもしれない。ヘラさんが言うように、見て触れて乗って遊べるってなったら、グレンツェンの観光地がひとつ増えそうな予感がする」
「それならよかった。剥製とはいえモンスターですから。ヘラさんやシェリーさんレベルなら許容範囲かもしれませんが、一般人から見てどう思うかが分かりませんでしたので。大事にしていただけると嬉しいです。狩猟してもらった甲斐があるというものです」
ドラゴンを狩猟。ドラゴンの肉。どうしても食べてみたい。
本当に在庫はないのだろうか。くどいようだが、もう一度確認してみよう。
「ほんとにドラゴンの肉って在庫ないの?」
「残念ながら在庫はありません」
「ぐッ! 私も食べたかった!」
「ドラゴンの肉はとても人気なんです。それに相手が猛烈に強いので、なかなか食べられないんですよ」
「くぅ~~~~~~~っ! そう言われると余計に食べたくなるっ! しかし無いんじゃ仕方ない。諦めるしかないか」
「ドラゴンの肉はほんとにおいしかったですよね~。ミノタウロスの肉もうまかったっすね~。恐竜の肉もおいしかったなー」
「おいちょっとペーシェこっち来ーい!」




