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異世界旅行2-4 世界は驚きの宝箱 34

「いやー、あれだけおちょくったのに、ちゃんとほたて以外も食べさせてくれるなんて、ベレッタは本当に優しいなー♪」


 それ、自分で言うことじゃないから。

 ほらもうベレッタが困ってるじゃないか。もみじの言葉に対する言葉の引き出しがない彼女は苦笑いを浮かべるだけに留めた。

 ベレッタはもみじから視線を外し、改めて暁に向き直って感謝を伝える。


「わたしのために好物を用意してくださって、本当にありがとうございます。ほかの料理も本当においしかったです♪」

「そう言ってもらえるとあたしも嬉しいよ。ベレッタがほたてを食べる時の幸せそうな顔が見れただけで、もう、ほんと、ありがとうっ!」

「――――――え、わたし、変な顔をしてました?」

「いやいやいやいや。すっごくよかったよ」

「そ、そうですか……」


 大人っぽいベレッタが、子供みたいに純真無垢な笑顔を見せてほたてを咀嚼する表情には癒された。ほんとにほたてが好きなんだな。


「ほたてがプリントされた枕を買うほどに」

「ラムさんっ!」

「いかん。思ったことが口に出た」


 またベレッタを怒らせてしまった。怒ったベレッタもかわいいな。怒り方がかわいいな。

 彼女の様子を見た暁も本音を出す。


「そんなにほたてが好きなら、エルドラドでほたてを養殖しようかな。刺身もうまいし貝から出汁がとれるし。貝殻はいくらでも使い道があるしなあ」


 暁の言葉の裏を読んだシェリーさんが暁に指をさして釘を刺す。


「おい、ちょっと待て。それ、ベレッタを勧誘しようとしてるだろ!」

「バレました? でもほたてがおいしいのは事実なので、できるなら始めたいですね。貝類の養殖はまだなので。いろんな養殖をやりたいです。ベレッタもいつでも遊びに来てくれて構わないからな」

「ありがとうございますっ!」


 諦めを知らない暁が執拗にベレッタを勧誘する。酔いの回ったベレッタは元気よく返事を返した。

 ほどよく酔ったシェリーさんは暁の勧誘の仕返しにと、アルマを誘惑しようとする。


「暁がそんななら、こっちにだって考えがあるぞっ! アルマ、レナトゥスに来い! レナトゥスなら世界中の魔法研究機関に顔が立つぞ。より深く魔法を学ぶことができる。世界中を旅して回れる。アルマにとってこんなに魅力的な提案はないだろっ!」


 理知的なシェリー騎士団長にしては珍しく高圧的な物言いに感じる。それだけ必死だということか。アルマがそれほどに魅力的な人物ということか。

 そりゃそうだよな。私も空中散歩を体験した。あれは素晴らしいものだ。手元に置いておきたい気持ちはよくわかる。できることなら、グリレで彼女の笑顔を振りまいてほしいものだ。

 さて、アルマの返答やいかに。


「たいへん魅力的ではありますが、アルマは暁さんのために生きると決めてますので」

「ぐっ、ぐぬぅっ!」


 シェリーさんの悔し顔を見た暁は満足そうに鼻を鳴らした。

 これを見たシェリーさんはなにかを閃いたようで、ヘラさんに耳打ちする。ヘラさんはいい意味で驚き、アルマの急所を強烈に突く。


「アルマちゃん、もしもグレンツェン大図書館に住んでいいって言ったらグレンツェンに移住してくれる?」

「ふっ! ぐふはぁっ!」

「アルマーッ! ちょっ、ヘラさん、それは卑怯すぎますって!」

「新しく入荷した書物を優先的にアルマちゃんに読ませてあげるー♪」

「ぐっ! ぐぬぬぬんんんんんんんんんんんんッ!」

「ヘラさん、ストーップ! アルマ! 耳を塞げ! ヘラさんの言葉を聞いちゃダメだッ!」

「ふわあああおおおああああおあああああおあああああああああッ!」


 アルマの心を揺さぶりすぎて絶叫してるじゃん!

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