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異世界旅行2-4 世界は驚きの宝箱 33

 無茶ぶりクイーンの姿を見て、暁がミレナさんに頭を下げた。


「華恋が無茶言ってすみません。無理なら無理とはっきりおっしゃっていただいて構いませんので」

「いや、まぁ、こっちも絶対に完成させるつもりでいるから心配しないで。でも華恋の設計した時計があまりにも特殊すぎて、現時点で100パーセント完成させられる可能性はないってだけ」

「ミレナさんがやる気ならよいのですが……」


 凄腕職人のミレナさんを困らせるとは。鬼ノ城華恋。かわいい顔して恐ろしい子よ。


 鍋の中身が少なくなってきたところで鍋が下げられた。そろそろデザートか。私の常識をよそに、暁が次の展開を教えてくれる。


「最後におじやにしてもらうので、もう少しお待ちください。この日のために、ヴェルダンさんに運んでもらった食材があるんだ」


 そう言う彼女の視線の先にはベレッタがいる。もしかしたらアルマを見たのかもしれないが、どうやらどちらか、あるいは二人の好物を用意したのかもしれない。

 アルマであれば間違いなくモツ。モツのおかわりか。おいしいけど、アルマ好みのモツ料理は味が濃いんだよなー。

 酒には合うけど♪


 おかわりよろしく再び開けられた蓋の中には金色に輝くおじやがある。溶き卵に刻んだネギ。鍋の出汁をたっぷり吸い込んだ米が光輝いた。

 さらに、タヌキ汁には追加の肉団子が。モツおじやには追いモツが。猪鍋にはブロック状の猪肉が埋もれている。

 キノコとてっちりの鍋には白っぽくて丸いものが散らばって見えた。はて、これはいったいなんだろうか。

 暁が立ち上がってベレッタを見て言った。


「ベレッタの好物のほたてを入れてもらったぞ。てっちりとキノコの鍋にそれぞれ入れたから、たっぷり堪能してくれ」

「ほたてっ!」

「「ぶふーっ!」」


 暁の厚意を受け取ったベレッタが声を大にして歓喜するのは分かる。ではなぜ、リリィとニャニャが揃って噴き出したのか。

 なにも知らないシェリーさんが疑問を口にしてしまう。


「どうした、リリィ、ニャニャ。ほたてがそんなにおかしかったか? それともベレッタがなにかしたか?」


 笑いをこらえるニャニャはシェリーさんにもベレッタにも視線を合わせられない。だからほたてを凝視しながら答える。


「いえ、その……以前、気象学の資料を取りにユノ教授の部屋へ行った時、ベレッタさんがお昼寝してたです。そこで、あの……」

「あーーーーーーーーーーーッ! あーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ! それ以上言わないでッ! それ言ったらダメだからあああーーーーーーーーーーッ!」


 今度はベレッタがいきなり狼狽。いったいどうした?

 興味を持ったもみじがいやらしい顔をしてリリィに耳打ちを要求する。


「ふんふん。なるほど。なんだってーッ! ほたてがプリントされた枕によだれ垂らして幸せそうに昼寝してただってー!?」

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!」


 聞いたこともない声でベレッタが絶叫。もみじをぽこぽこ殴り倒す。


「あいたたたたたたたっ! プリントって言葉は知らんけど、とにかくベレッタがほたて大好きってことは分かったよ。いいじゃん、好きなものがあるってのは。個人的には好き嫌いせずに鍋をつついてほしいけど♪ てか、ちょっ、見た目によらず力強いな!」

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」


 泣き叫び、アルマに抱きついて彼女の胸の内で泣き叫ぶ。

 慰めればいいのか。でもベレッタさんは年上だし。内心気まずいアルマは悩んだ末、とりあえずほたてを食べようと提案する。


「まぁまぁ、とにかく今はほたてを堪能しましょう。ほら、おじやだけじゃなくて生の刺身もありますよ。あ、ほたて以外のもあるんですね」


 平皿に乗った貝の盛り合わせを見ると、多種多様な貝の刺身の姿がある。

 暁はベレッタの肩に手を乗せた。


「ほたて以外にも好きなものがあるか分からなかったら、市場で仕入れられるだけの貝類を揃えてもらったよ。好きなだけ食べてくれて構わない。ベレッタをおちょくったもみじの分も食べていいから」

「えええええええええええええええええええええッ!? それはあんまりですわーーーーーーーーーーっ!」


 もみじの叫び声に、同門の子たちから『やっちまったな』と相槌を打たれ、宴会の席に笑い声が木霊した。

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