異世界旅行2-4 世界は驚きの宝箱 31
真面目なヘラさんは私の邪推など知りもせず、本気の表情で話しを続ける。
「それと、土地柄や文化、宗教も教育に関係していて、千差万別の適切な学び方がありますから、直接見たほうが実感として納得できるはずです」
「さすが学術都市の長。深い思慮に感服いたします。華恋ちゃんも、みなさんもぜひとも遊びに来てください。いいところがいっぱいありますから」
インヴィディアさんの誘いにすみれが一番乗り。
「郷土料理を食べてみたいですっ! アンモナイトは食べたことがないので、いろんな料理を食べてみたいですっ! ダイナグラフキングダムにもまた行きたいですっ!」
「ええ、ぜひとも料理を食べに来てね。ロースト肉とパルミットの組み合わせは絶品よ♪ 煮込み料理や豆料理、メリアローザみたいに海産物を使ったサラダもあるわ。きっと気に入ってくれると思う」
「絶対に行きますっ!」
すみれの料理にかける情熱がすごい。だからこそ、グリレの厨房に立ってほしい。でもレーレィさんとグリムが邪魔をする。くそうっ!
気を取り直して料理に戻ろう。くだんのフグ鍋をヘラさんと暁がよそって食べる。当然うまい。身がふんわりとしていて、噛めば噛むほど白身魚特有の甘味が口いっぱいに広がるとのこと。
グレンツェンにフグ料理はない。毒があるからだ。それをわざわざ食べるなんてどうかしてるとしか思えん。ベルンには完全養殖された無毒のフグを使ったフグ料理店がある。これも養殖で無毒。無毒でなかったら、例えプロが捌いたと言われても躊躇しただろう。
さて、それではいったいどんなお味なのでしょう。
ポン酢につけていただきます。
「おぉ~♪ 食感はふわっふわ。でも身崩れしないんだね。ポン酢の心地いい酸味とフグの相性が最高だね。野菜とも合う。こっちのお皿に並べられた白身はどうやって食べるの?」
華恋に聞くと、フグ刺しを見て満面の笑みで答えてくれる。
「これはお刺身ですね。醤油にちょんとつけてそのまま食べます。鍋の熱湯にくゆらせてしゃぶしゃぶにするのもいいですよ。生のこりこりとした食感と、火を入れた時のふわっふわの食感を同時に味わえて楽しいです♪」
華恋の笑顔を見て、フグ刺しを見て、すみれも満面の笑みで華恋の言葉に続く。
「ちなみにですね、フグ刺しはこうやって箸ですくって一気にたくさんお口に放り込むのがいいんですよ。具体的になにがどういいかと言われると困りますが、すーっとすくって食べるのがいいんですっ! 贅沢食いです! ね、華恋さん!」
「うん! 今日はたっくさん、フグ刺しがあるから、いくらでも贅沢食いできるね! しゃぶしゃぶもたくさんできるよ! あ、こっちのてっちりでしゃぶしゃぶする? 場所代わったほうがいい?」
「大丈夫です。キノコ鍋でしゃぶしゃぶしちゃいます。風味豊かなキノコ鍋でフグをしゃぶしゃぶなんて、なかなかできない体験だよ」
「あ、それいいね。あとでちょっとだけ場所代わってもらっていい?」
「もちろんっ!」
二人のやりとりを見て、奥に引っ込んだアルマが顔を出す。
「お二人さん、てっちりしゃぶしゃぶもキノコしゃぶしゃぶもいいですが、こちらのモツ鍋でフグしゃぶしゃぶも一興かとっ!」
「正気か!?」




