異世界旅行2-4 世界は驚きの宝箱 28
暁もベレッタと同じく異世界間交流を早く始めたい派。なにかできることがあるか考えて腕を組む。
「今のところはメリアローザに好感を持ってもらうことが大事かな。異世界間交流を始めた時の切り口としての活躍を期待したい。フェアリーは大丈夫そうだけど、未知のポーションとか、魔法技術とか、スケルトンとか」
「スケルトン?」
おそらく全人類に受け入れられないだろう存在の名前を聞いてヘラさんが飛び出した。
「スケルトンはまごうことなきアンデットだけど、医療の進歩のためには必要不可欠なの。詳細はあとで説明するね。ひとまず、料理が出てくるみたいだから宴会を楽しもう。メリアローザの料理を楽しみましょう♪」
料理が運ばれてきた。ステーキとサラダ。それにお酒!
めっちゃおいしそう!
料理が揃ったところで暁が立ち上がり、手をふたつ叩いて注目を促す。
「それでは、面子が揃ったので始めましょう! 乾杯!」
「「「「「乾杯っ!」」」」」
短いっ!
超あっさりした挨拶に拍子抜けする。
でもおいしそうな料理が冷める前に食べようと思います。
厚切りの肉の横には今日採れた黒トリュフが並ぶ。好きなだけふりかけていいという超大盤振る舞い。黒トリュフの普及と、無知であるがゆえの大量導入。
念のために暁に聞こう。
「マジで好きなだけ使っていいの?」
「もちろんです。みんなも使ってみてくれ。今日、すみれが見つけてくれたんだ。異世界ではとても珍重されるキノコだそうで、どんな料理にも使われるらしいですよ。そのへんはラムさんからお願いします」
「え、今?」
「できれば、料理のあるうちに」
「ぐ、ぐぬぬ……もてなしてもらって、名指しされたなら仕方ない。単純にスライスしたトリュフをお肉や魚に乗せて食べてよし。サラダにパスタに振りかけてよし。細かくして塩と混ぜてトリュフソルトにしてもよし。オイルに漬けて香りをオイルに移すもよし。いろんな料理に使えるよ。今度レシピを伝えるから教えてあげる。って、アイシャに伝えればいいのかな?」
「お願いします。ひとまず少し振りかけながら食べてみましょう。好き嫌いもあるし、口に合わないこともあるから」
言葉を終えたらさっそく実食。お肉に振りかけてナイフで切り分け、お口へ運ぶ。
「うぅ~ん♪ 黒トリュフをこんなに贅沢に使えるなんて幸せ! 見つけてくれたすみれさまさまだね。せっかくだし、自前のハーブソルトは別にとっておこう」
「ハーブソルト!? それはどんなハーブですか!?」
ハーブ大好きクラリスが脊髄反射的に立ち上がる。そういえば、先日のハーブ事件の時はハーブティーが主役だったからハーブソルトは見せなかったんだっけ。
「よかったら使ってみる? お肉にかけてもサラダにも合うよ。私のオリジナルハーブソルト」
「ぜひともいただきますっ!」
手渡したクラリスがハーブソルトを鹿肉に振りかけてぱくり。おいしそうに頬を赤らめて幸福に身を浸す。
彼女の姿を見たもみじも興味を示した。
「いいなー。あたしも少し貰っていいですか?」
「もちろん♪ みんなも興味あったら使ってね」
調味料を変えるだけで味がガラッと変化して、楽しみが何倍にも膨らむ。もみじもほかのみんなもおいしいと言ってくれて嬉しい限りです。




