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異世界旅行2-4 世界は驚きの宝箱 24

 裏口から庭へ出る。色とりどりの花々と、命感じる緑に囲まれて秋の涼しさに身を投げる。

 リィリィちゃん用の木造のブランコが風に揺れる。裏庭奥にある大きな湖には多種多様な睡蓮がモザイク画のように咲き乱れる。

 水辺だからとっても涼しい。カラフルな睡蓮を眺めてのティーパーティーなんて、なかなかできるものではない。


「ねぇねぇ、裏庭もいいんだけど湖が見える場所にテーブルを置きません? ここの睡蓮はいろんな色が咲いててすっごく綺麗だと思うんです」


 10人以上が卓を囲める大きなテーブルを肩に担ぐサンジェルマンさんに提案すると、ナイスアイデアと指を鳴らした。


「エクセレントだ。みんなもどうだろうか。睡蓮を鑑賞しながらティーパーティーというのは」

「賛成です! 前回来た時は蓮の花が満開でしたけど、この時期は睡蓮なんですね。水面に咲き誇るカラフルな睡蓮。見ていて全然飽きないです」

「本当に見事だね。これだけの品種の睡蓮を一度に見られる場所なんて、なかなかないんじゃないかな」


 本当に見事だ。湖を覆い隠さんばかりの睡蓮には圧倒される。グレンツェンでもお目にかかれない景色だ。

 素晴らしい景色に見惚れる私たちの後ろで、ロリムが興味深い話しを語ってくれる。


「先月は蓮も同時に咲いていたので、天に水面にとても幻想的な風景が広がってました。蓮の実をはちみつ漬けにしたものがあったはずなので、それも一緒にいかがでしょうか。ああ、そうだ。蓮の花で作ったロータス・ウォーターもまだ残ってるはずです。独特の甘い香りがして、緑茶や紅茶に入れるとふんわりした気分を味わえると好評です」

「なにそれ。めっちゃ気になる!」

「それでは、セチアさんに伝えてきますね」


 なんだってんだ。異世界にはわくわくしか存在しないのか。

 ロータス・ウォーターとか楽しみすぎるんですけどっ!


 場は整えられ、テーブルの上にはスイーツの花が咲く。

 乾杯はフェアリーの音頭で始まって、おいしい紅茶をひと含み。ほんわか癒されたらロータス・ウォーターをくわえて味変を楽しむ。ふわりと薫る独特の甘さが舌に広がって鼻を抜ける。

 おいしい紅茶とスイーツに楽しい仲間たち。こんな時間が永遠に続けばいいのに。

 人類が求めた幸福がある。温かくて贅沢で、これ以上素晴らしい時間は思いつかない。


「紅茶のクオリティも、シルヴァの紅茶を淹れる腕前も、ロータス・ウォーターも最高だ。幸せここに極まれり、だな」


 カラフルな睡蓮の湖を臨み、極上の紅茶と幸せに微笑む天真爛漫なフェアリーの笑顔に癒される。

 幸福の溜息をつく私の前に、初めて作ったスイーツを食べてもらいたいリィリィちゃんが現れた。


「ラムお姉ちゃん、これね、ローザお姉ちゃんに作り方を教わって作ったの。食べて食べて!」

「おぉー! おいしそうに出来上がったね。それじゃあさっそくいただきます。う~ん♪ すっごくおいしいよ。リィリィちゃん、本当にありがとう!」

「えへへ、喜んでもらえて嬉しいな!」


 なんて笑顔をするんだ。胸がきゅんきゅんしちゃう!

 次に配られたのはペーシェのタルトタタン。スイーツにうるさいシルヴァが太鼓判を打つというデリシャススイーツ。はたしてその実力は?

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