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異世界旅行2-4 世界は驚きの宝箱 21

 胸を撫でおろす中、フェアリー大好きロリムが念のためにと、フェアリーの前に立って扉を開ける。ゆっくり開けた扉の隙間から香ばしい焼き菓子の香りがした。

 待ちきれないフェアリーたちは扉の隙間から工房へダッシュ!

 安全を確認したロリムが扉を開ける。そこにはスイーツを作る三人の少女の姿があった。


 彼女たちの姿を見て、すみれが最初に飛び出した。


「ペーシェさん! それにローザさん、シルヴァさんも! どうしてここにいるの? 用事があるから来れないって言ってたのに」


 マジでなんでここにいんの!?

 あっけにとられる私たちなど気にも留めず、ペーシェはすみれに抱きついてビズをする。


「ひゃっほー♪ 用事が終わったから遊びに来たよー! ローザもシルヴァさんもみんなに会いたいって! 今ね~、クッキーとチョコレートケーキとタルトタタンを作ってるところなの。これでみんなでティーパーティーしよぉ~う♪」

「クッキー!」

「「「チョコレートケーキ!」」」

「「「「「タルトタターンッ!」」」」」


 フェアリーたちの食いつきがすごい!

 嬉しくて笑顔でくるくると宙を舞う姿マジフェアリー!


「というか、ペーシェたちが来るって知ってたの?」


 セチアに問うと、笑顔をひとつ作って答える。


「はい。今朝がたロリム経由で連絡が来たんです。せっかくならサプライズにしようということで黙っていました。みなさんともお友達なのですよね」

「うん、まぁ、そうなんだけど、異世界間を移動してくるとは思わなかったから超驚いた」

「ペーシェさんはワープが使えるということなので、1日1回までなら異世界間移動ができるそうですよ?」

「え……それってつまり…………?」


 全員が同じ思考をめぐらして彼女をみつめる。

 獲物を見つけた猟犬のような視線を送った。

 最初に言葉を発したのは我らが市長。ヘラさんがペーシェの肩を掴んでがっつく。他のみんなも彼女の背後に続いて目を見開く。


「それってつまり、1日1回までなら、いつでもメリアローザとグレンツェンを行き来できるってこと!?」

「そ、そういうことになりますね……」

「「「「「ほほぅ…………」」」」」


 私も、ミレナさんも、シェリーさんも、みんな同じことを考えた。

 母親であるレーレィさんは群衆を描き分けて娘の前に出る。怒ったような顔をして、わくわくを待ちきれない子供のような足取りが床を叩く。


「ちょっと、ペーシェ。これはどういうこと? フェアリーのことを知ってて黙ってたってこと?」

「え、うん。ヘラさんから口止めされたから。口外するとたいへんなことになるって。実際そうだろうし。世界中がパニックになる」


 娘の話しを聞いたレーレィさんは、タルトタタンの焼き上がりを楽しみに待つフェアリーを見て納得した。


「なるほど。それは仕方ないわね。じゃあ今後はいつでもワープしてフェアリーたちとスイーツティーパーティーができる、ってことでいいのね?」

「よくは……ないけど…………ひっ!」


 断りそうになる彼女の肩に手が伸びる。四方八方から手が伸びる。母親からも父親からも、友人からも騎士団長からも手が伸びる。

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