異世界旅行2-4 世界は驚きの宝箱 17
周囲の驚きなど気にもとめず、しじまちゃんは声を張る。
「これから紅葉狩りですぞ。このしじまが護衛仕りますゆえ、ご安心くだされ! たくさん紅葉を持ち帰って紅葉饅頭を貰いましょうぞ!」
「すげえ。ここまで人の話しを聞かない子っているのか……」
あまりの堂々とした態度につっこみを禁じ得なかった。
姉はドン引きし、その姉に殿は、『もういいから』となだめてなんとかことが収まった。それからずっと、しじまちゃんはアーディの後ろをちょろちょろとついて回る。その背後をキキちゃんとヤヤちゃんもついて回る。
親カモについて回る子カモのようだ。
「ちょっと羨ましい」
「だったらラムさん、代わってもらえます?」
「代われるもんなら代わりたいわっ!」
しじまちゃんの心はきんぴか丸を手に入れる原因を作ったアーディにある。
こんなことなら私がきんぴか丸を頭に乗せたかった。
小さい子に慕われたい私はアーディに憎悪を向けて舌打ちをする。
さぁ気分を変えて紅葉狩りだ。山へ入ってとにかくいろいろ採取したい。
というわけで、すみれと一緒に紅葉狩りへ行こう。
「すーみれ♪ 一緒に山に行こうぜ~♪」
「もちろんです。赤雷も一緒に行こうね♪」
「ぜひともお供させていただきますっ!」
よーし。三人一組み程度ってことなので、あとはレーレィさんを引き入れようかな。
「ごめんなさい。今日は旦那と一緒に行動するから、悪いんだけど別の人を誘ってあげて」
「そりゃそうですよね。じゃあどうしようかな」
レーレィさんはサンジェルマンさんとヘラさんと一緒に山へ入るようだ。
三人目は誰を選ぼう。探そうとするとベレッタが現れた。
「あ、あの、わたしもご一緒していいですか?」
「いいけど、シェリーさんとバストさん、アーディと一緒に行くんじゃなかったっけ?」
「それが、お義兄ちゃんがしじまちゃんたちと一緒に行くことになっちゃって」
「シェリーさんとバストさんは?」
「二人は荒ぶるプリマの世話で手一杯みたいです」
荒ぶるプリマとは一体?
見るとプリマは、落葉した紅葉の上をダッシュしてはジャンプ&ダイブ。枯れ葉を抱いてバリバリと割りまくる。細切れになったら次の獲物を探してダッシュ&ダイブ。これを延々と繰り返す。
「どうしたの。野生の本能が目覚めちゃったの?」
「そうかも、しれません。とにかくテンションが上がりっぱなしのようで、めいいっぱい体を動かしたい気分のようです」
「なんという自由猫。とりあえず私も動画を撮ろう」
かわいい。自由奔放に駆け回る姿がマジラブリー。




