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異世界旅行2-4 世界は驚きの宝箱 10

 どろどろに溶けた壁は見るも無残な姿である。

 ごうごうと音を立てて燃え続ける野原を背に、アルマは嬉しそうに小躍りを踊った。ドラゴンの背に乗って、ドラゴンにも小躍りさせて喜んだ。

 ドラゴンにダンスを躍らせるとこんなにシュールなのか……。


 相変わらずのアルマの天衣無縫に癒される最中、隣では青ざめたすみれの顔があった。


「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!! 森が燃えてるーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

「「「「「え!?」」」」」


 見ると、ドラゴンが吐いた炎が延焼して森の入口が焼けていた。

 やべえ。どうしよう。とりあえず逃げ――――すみれが飛び出した!?

 脊髄反射的に森に飛び込もうとする三色髪の少女を暁がタックルで止める。


「今行ってもどうしようもないって! 消火できるやつを呼ぶから離れよう!」

「キノコが燃えるーーーーーーーーッ!」

「食欲の権化! まずは自分の命を大事にしてくれ!」


 しかしいったいどうすればいい?

 土をぶっかけて消火できるような範囲ではなくなってしまった。

 黒トリュフが燃える姿は見たくない。

 水魔法が使えるリリィと言えど、大量の水を生む魔法は習得してない。

 インヴィディアさんは大魔法使いだが、彼女は対生物魔法が多く、消火するための魔法の持ち合わせはない。

 ここでパニックになったアルマが素っ頓狂なことを言い出す。


「さらに高い火力をぶつけて対消滅させればよいのでは!?」

「絶対にやめろーーーーーッ!」


 今度は暁がアルマの乗るドラゴンにタックルして止める。

 止められたアルマは思考を切らすまいと必死に祈った。


「こうなったらもう雨乞いするしかねーーーーッ!」


 魔法大好きっ子が天に祈り始めた。

 皮肉なことに空は快晴。いつ雨が降るか分からない。


 雨。

 アルマのてんぱった姿を見たベレッタが大きく手を叩いた。


「ホワイトドラゴンなら消火できるかもしれません!」


 すかさず暁のつっこみが入る。


「ホワイトドラゴンは氷を生成してぶつけることはできるが、それで消火は難しくないか?」

「大丈夫です。ホワイトドラゴンを調べて分かったんですが、彼女が生来持ち合わせる魔法は氷を生成して落下させる魔法ではなく、周囲の気圧を操作する魔法なんです」

「気圧…………を、どうすれば消火できるんだ?」


 科学が発達してない世界の住人は眉間にしわを寄せて疑問を作る。

 科学文明を知る我々でも、理屈では可能だろうけど本当にそれができるのか、と疑問をつぶやいた。


「任せてください。雨くらいならそんなに難しくはなさそうです」

「え、雨乞いするの?」

「信じてください!」


 いまだ理解の及ばない暁に詳しく説明をする暇はない。

 ベレッタはホワイトドラゴンに乗り込んで空を舞う。火災現場の真上に君臨するや否や、急激に冷たい風が全身を覆った。

 マジか。アレをやるというのか。

 たしかにそれしかないだろうけど、そんなことができるのか!?


「コール・オブ・レイニーデイ!」

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