異世界旅行2-4 世界は驚きの宝箱 9
「前にシェリーさんがアルマのために超頑丈なストーンウォールを出してくれると言ってくれたので、今出してほしいです」
「それは構わないが、いったいなにをするつもりなんだ?」
「全力のドラゴンブレスを放ってみたいんです!」
「――――空にじゃ、ダメなの?」
「なにかにぶつけて放ってこそ、楽しいんじゃなですか!」
「……………………」
シェリーさんは納得のいかない表情を見せつつも、『約束したしなぁ』と呟いて魔法を唱える。
タングステンと同じ性質を持つストーンウォール。
世界最強の耐熱金属VS天空の支配者。
これはちょっと気になる。
「うひょー♪ シェリーさん、ありがとうございますっ!」
「うん、まぁ、ドラゴンはベルン側の世界に輸出するってことだし、ドラゴンはモンスターカーレースの妨害要員に使うってことだし、どのくらいのスペックがあるのかは知っておきたい……」
騎士団長様はめちゃくちゃ気乗りしない声色で肩を落とす。
対する金髪ふりふりフリルの魔法大好きっ子はやる気満々。
「おっしゃー! それではまずは、通常のドラゴンブレスをぶっぱなすぜ!」
通常の、ってなに?
疑問をぶつけるより先にアルマがドラゴンに飛び乗ってドラゴンブレスを壁に放つ。
真っ赤な炎の柱が壁に直撃。背後30メートルに退避する我々の全身に熱気が襲い掛かった。
なんて威力だ。構えるカメラのレンズが溶けないか心配だ。とりあえずもっと距離をとろう。
数秒、ドラゴンブレスを吐くも、シェリー騎士団長自慢の盾は真っ赤に色づくだけで全く溶けない。さすがベルンの守護神。頼もしい限りです。
「ぐぬぬー! 普通のドラゴンブレスでは赤熱するだけで溶けも吹き飛びもせぬとは! さすがシェリーさんのストーンウォールですな。しかし、冒険者も骨を折る、超凄いドラゴンブレスではどうですかねっ!」
超凄いドラゴンブレスってなんぞ?
呟くと、シェリーさんが腕を組んで唸る。
「ログボードで見た時の青白い炎か……。タングステンの特性と耐火魔法を付与したストーンウォールでも防げないだろうな」
「え、青白い炎?」
疑問を口にした瞬間、アルマが実演してくれた。
両の翼を大きく広げ、翼に描かれた魔法陣を発動。竜巻のような突風が壁に向かって襲い掛かる。重ねてドラゴンブレスが風に乗る。超高温のドラゴンブレスが大量の酸素によって燃焼が加速された。風と炎がぶつかったところから青白い炎に変わる。
赤から青へ。奇妙な景色が広がった。
炎の先の壁は熱された棒が氷に当たるように溶かされていく。
あっという間に壁は消え、壁を破壊した歓喜の叫び声とともに炎の柱を空へ向けた。
「ひゃああああっはああああああああっ! やぁってやったぜえ! シェリーさんのストーンウォールを打ち破ったぜふぅ~~~~っ♪」
「それはよかった」
シェリーさんは与えたおもちゃに満足した子供を見るような優しいまなざしでアルマを見た。




