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異世界旅行2-3 待ちわびた時は眩しくて、遂に出会えて嬉しくて 55

 うきうき気分で食堂へやってきた姫様はピウスを足元に連れてやってきた。自分の周りをちょこちょことついてまわるピウスのことがかわいらしくて仕方ない。

 楽しそうにする彼女には気の毒だが、これから顔面蒼白になっていただきましょう。


「それでは、今日の姫様の行動に伴う処遇を考えようと思います」

「わたくしの処遇!?」


 シャルロッテ姫が私と暁、リリス姫、インヴィディアさんの顔を見てきょとんとした。

 暁は彼女の疑問を置いてけぼりにして話しを進める。


「ウララの占いがあったとはいえ、無断でダンジョンに入って行ったことについては許しがたい蛮行です。これについての処遇を考えます」

「えっ!?」

「えっ!? ではありませんよ。立ち入っていい階層はモンスターのいないフラウウィードだけだと説明しましたよね?」

「それはそうですが、わたくしは素敵な出会いを求めてダンジョンに入っただけです。それに結果的に無傷ではありませんか。インヴィディアさんもいらっしゃいましたし、なにも問題はなかったですよね!?」

「物理的な問題はありませんでしたが、倫理的な問題はありました」

「倫理的な問題……?」


 両頬に手を当て、おちょぼ口を作って明後日の方向を見るシェルロッテ姫様を見る暁の顔が怖い!


「結論から申し上げます。姫様には異世界間交流大使を解任していただきます」

「ッッッ!?」


 絶句!

 絶望!

 絶対に解任されるのは嫌だって顔してる!


「待って下さい! それはあんまりです! たしかに暁さんたちにダンジョンに入る許可を取りませんでした。でもインヴィディアさんには許可取りしましたよ!」

「私は暁ちゃんに、『お姫様たちのしたいように、できうる限り協力する』って伝えたわ。詭弁だけど」

「インヴィディアさん! 詭弁は認めなくていいんですよっ!」

「だってもう全部暁ちゃんに話してしまったし。それに貴女たちに我慢させてたらどこかで勝手に二人っきりでダンジョンに入ってたのは間違いないでしょう? それだけは阻止したかったもの」

「そ、そんな勝手なことはしませんよっ!」


 シャルロッテ姫の言葉を受けた私も暁も言葉が出なかった。

 私はシャルロッテ姫を見て、暁はリリス姫を見て沈黙した。


「黙ってないでなんとか言ってくださいよ! リリス姫も反論してください!」

「え? 反論の余地がないのでなにも言うことはありませんよ?」

「ふぁあああああああああああああああああッ!」


 我らが姫様は大声を出して机に頭をぶつけた。

 とても姫様の所業ではない。ひとまず落ち着いてもらおう。

 はちみつレモンティーを飲んでひと言。


「異世界間交流の大使を解任することだけは絶対に勘弁してくださいっ!」


 暁はひとつ溜息をつく演技をして腕を組んで言い放つ。


「安心してください。ことの発端はウララの占いです。これについては不可避なので我々にもどうしようもありません。結果的に、今回は呪いを受けたピウスを解放してくれました。その心根の優しさには敬意を払う必要があると思います。」

「免罪!」

「免罪は無理です。減刑が関の山です」

「そんなっ! わたくしに札付き姫になれとおっしゃるのですか!?」


 札付き姫ってなんだ……。嫌なネーミングをしないでください。

 私と同様に呆れた暁が減刑後の審判を下す。


「姫様は今日からほぼ全てのダンジョンへの立ち入り禁止です。フラウウィードやエルドラドへ行く際には必ず護衛をつけていただきます」

「フラウウィードにもですか!? あそこはモンスターがいないからいいじゃないですか!」

「そういう問題ではありません。立場を弁えていただきたいのです」

「ぐぬぬ……」


 ぐぬぬ、じゃないですよ。

 そこは素直に肯定してください。しおらしくしてください。メリアローザにおいて、ダンジョンの出入りは暁が掌握してるんです。彼女に完全にノーを突きつけられたら永久にフラウウィードでスイーツが食べられないんですよ!

 ダマスクローズの丘に咲き誇る一面のバラ園だって拝めないんですよ!

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