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異世界旅行2-3 待ちわびた時は眩しくて、遂に出会えて嬉しくて 48

 戻ってきた暁は少しすっきりした様子で空元気を振りかざす。


「お見苦しいところを見せてしまって申し訳ありません。今日は以前討伐したミノタウロスの肉を使った漬物です。存分にお楽しみください。ほかにも秋の食材を使ったおばんざいをいくつか用意してますので、遠慮なくお申し付けください」

「ありがとう。それはそうと、体調は大丈夫か? よっぽど不味かったようだが」

「ええ、はい……まさかこれほど不味いとは思いませんでした。不味いとは思ってましたが」

「不味いと思ったのによく食べたな。先にそんへんの動物やら昆虫やらに食わせて実験すればよかったんじゃないか?」

「いえ、こっちのほうがてっとり早いので」

「そ、そうか……」


 暁には悪いが、もうちょっと慎重にことを運んでいただきたい。

 君になにかあったら異世界間交流が滞る可能性がある。なにより、お前を慕う人々に迷惑がかかるだろう。こんな姿、エルドラドの人々には見せられない。

 炭鉱の仕事の時に、『安全第一、命を粗末にすることは許さない』と言った人間がこれでは……。


 暁は気を取り直して席に座り、水を飲んでからというもの食事を取ろうとしない。

 どんだけダメージがあったんだ……。

 暁が復活した姿を見たアルマが晩御飯のお盆と一緒に我々のテーブルに移動してきた。


「シェリーさーん! 今日のカトブレパス討伐、ご苦労様でした。よろしければどんな方法で倒したのか聞かせてもらっていいですか?」

「構わないが、できれば敢闘賞のレオさんに……クロの看病で話しどころではなさそうだな。簡潔に説明すると、私がカトブレパスの注意を引き、サンジェルマンさんとクロが波状攻撃。隙を突いてレオさんがとどめを刺した。こんなところだ」

「わ、わぁ~お……本当に簡潔ですね」

「すまん。レオさんのように語りが上手いわけじゃなくてな……」

「大丈夫です。とりあえずあとでレオさんにどうやってカトブレパスを倒したのか聞いて、その方法を教えてもらいます。アルマもカトブレパスの毛皮がほしいです。黒はかわいくないので、ピンク色に染色したいですね」

「ピンク色に染色か。私は白がいいな。白いもふもふの毛皮のコートがいい」

「シェリーさんに白のコートはよく似合いそうですね。白と言えば、ドラゴンの剥製は赤と白のドラゴンですよね。アルマとベレッタさんがドラゴンに乗ってモンスターカーレースの障害物をするってことですが、それについては何かご存じですか?」

「それについては全く何も知らされてない。ヘラさんから突然聞かされたのが初めてだ。だが、ドラゴンを障害物に使うとしても、魔法を放つ騎手の二人には相当な負担だろう。断ってくれてもかまわないんだぞ?」


 そう言って断るようなアルマではない。

 むしろわくわくとやる気に満ちた目をした。


「ドラゴンの羽には暴風を巻き起こす魔法陣が描かれているのです。口から吐き出す炎のブレスと混合させて燃焼を加速させることで超広範囲に超高温の炎をまき散らすことができるのですっ! その威力たるや暴威と呼ぶにふさわしいですっ!」

「まさかとは思うが、それをモンスターカーレースの妨害用魔法として使おうって言うんじゃないよな? そんなことしたら車はおろか、秒速で搭乗者が焼け死ぬと思うんだが」

「大丈夫ですよ。モンスターカーレース用のレーシングカーにはセーフティーの魔法がかけられてますから、一定以上の負荷がかかったら乗ってる人を強制転移します。ブレスでウェルダンしても問題ありませんっ!」

「倫理的な問題が……」


 ドラゴンで車ごと人間を丸焼きってアウトすぎるだろ。

 それでも、モンスターカーレースに関してはありうる話し。

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