異世界旅行2-3 待ちわびた時は眩しくて、遂に出会えて嬉しくて 47
晩御飯はすみれのリクエストで、前回討伐したミノタウロスの肉の漬物。
肉を漬物にするという狂気の発想に驚かざるをえない。これにはグリルバルを経営するラムも目を疑った。
「発酵食品の知識はあるつもりだったんですけど、生肉の漬物を食べるのは初体験です。どんな味がするんでしょう。というか、衛生的に大丈夫なんでしょうか……」
「正直、私も初めてだ。サンジェルマンさんはどうですか?」
「いやー、僕も生肉の漬物は初めてだね。どんな味がするんだろうね」
期待と不安が入り混じる晩御飯。配膳されたそれは玄米と味噌汁。白菜と生肉の野菜炒め。
――――肉が、まだ赤いんだが。
「すまん、アイシャ。肉が生焼けのように見えるんだが?」
「あ、生肉の漬物は焼いても赤いままなんです。大丈夫です。火はしっかり通ってますので」
「マジか……」
アイシャが大丈夫と言うなら大丈夫なのだろう、が、そう言われても、生にしか見えない色の肉を出されて大丈夫と言われても、さすがにちょっと懐疑的にならざるを得ないんだが。
こういう時はすみれを見てみよう。我々の心配をよそにおいしそうにほおばって、既におかわりを食べつくした。これからまさかの三杯目。すげえっ!
「うぅむ……すみれもアルマたちも食べてるし、大丈夫か。それではいただきます」
メリアローザ式食事作法に習って手を合わせ、生肉の漬物をぱくり。パンチの効いた発酵臭とともに肉の旨味がおしよせてくる。
しゃきしゃきの野菜。弾力のある肉。これはなかなか美味ですな。
ここでカトブレパスの肉を食べて倒れた暁が復活した。がっくりと肩を落とし、目を見開いて溜息をつく。
さすがの暁もテンションが低い。ご飯がおいしいことがどれだけ大事かということを再確認してしまった。
「ああ……肉漬け……うっ!」
えずいたと同時に走り出して食堂の外へ消えていった。
カトブレパスの肉はそんなに不味いのか。毒息を吐くモンスターの肉なんて不味いに決まってるだろうけども。体内に毒を持っていても毒息を吐くような動物は存在しないからなぁ。




