異世界旅行2-3 待ちわびた時は眩しくて、遂に出会えて嬉しくて 27
目の前には自分たち専用のラウンドテーブルを囲むフェアリーがいる。どんな料理が出てくるのかわくわくする姿が愛らしい。
「お待たせしました。プリマちゃん、ご飯をどうぞ♪」
「にゃーんっ!」
まさかのプリマ優先。すみれが持ってきた激うま猫まんまに気付くなり、私の腕にくっついたプリマが飛び出していった。さすがすみれの料理。プリマの私への愛を越えるとはっ!
「これこれ、プリマ。そんなに急いで食うと喉をつまらせるぞ? 飯は逃げん。ゆっくり味わって食うのだぞ」
「にゃ~ん♪」
本当においしそうに食べる。小さなお口ではむはむ食べる姿マジフェアリー!
「シェリーさん、お待たせしました。チンクェ・メェーレ・フォルマッジです。ほかにもたくさん焼きますので、楽しみにしていてくださいね♪ ピッツァだけでなく、ガレットも焼きます。暁さんの厚意でサーモンたっぷりですよっ!」
「それは本当に楽しみだな。ちなみに、はちみつ入りということだが、どんなはちみつを使ったんだ?」
「幻想神殿の水のようなはちみつと、蝶のギルドの領内で採取されるまったり甘々なはちみつをブレンドしました。チーズには王道の四種にくわえ、チックタックさんが作ったふんわり優しい風味の真っ白なチーズを使いました。おかげでチーズとはちみつが上手にまとまって、絶品ピッツァに仕上がりました。アツアツのうちに召し上がれ♪」
すみれも本当にいい笑顔をするなぁ。
ライラさんがハウスキーパーに雇いたいと願うのも無理はない。あわよくば、プリマのご飯も作ってほしいものだ。
アツアツのうちに召し上がれ、ということなので、お先にいただきたいと思います。
さくっ。
もっちゃもっちゃ。
うっ、うまいっ!
「コクの強いチーズたちをホワイトチーズの優しい風味がふんわりと包み込み、二種類のはちみつの甘さが深い味わいを醸し出している。チーズのコクと酸味と、はちみつ甘みの協奏曲。これはうまいっ! はちみつ贔屓を別にしても絶品だ!」
「「「「「わくわく♪」」」」」
咀嚼する私の笑顔を見上げる者たちがいる。
5人のフェアリーが羨ましそうにチンクェ・メェーレ・フォルマッジと私を交互に見た。
「みんなも一緒に食べよう。このピッツァ、すっごくおいしいよ♪」
「「「「「食べたぁ~い♪」」」」」
「はい、あ~ん♪」
新しいピッツァを手に取って口まで運ぶ。
人間サイズのピッツァめがけて大きな口を開けてぱくり。
とろ~りチーズと甘々はちみつチンクェ・メェーレ・フォルマッジをほおばって、そのおいしさに飛び跳ねて喜ぶ姿がマジかわいい!
「チーズのコクと酸味とはちみつの甘さが絶妙にマッチして――――おいしいっ!」
「「「「し~あ~わ~せ~~~♪」」」」
フェアリーたちの笑顔を見るだけで幸福になる。
なんて素敵な存在なんだ。老後はメリアローザに永住したい。
チーズピッツァを食べてふわふわ。
かぼちゃポタージュを飲んでわくわく。
ハーブティーを飲んでほっぺもにもに。
カトブレパスと戦った疲れが吹っ飛んでいく。
永遠に見ていられる世界がここにある。




