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異世界旅行2-3 待ちわびた時は眩しくて、遂に出会えて嬉しくて 14

以下、主観【シェリー・グランデ・フルール】

 ぬかるみの多い森林の中、私は国宝の盾を構えてモンスターと対峙する。

 体長2メートル越えの四足歩行の毛深い巨体が睨みつける。黒い毛並み。勇猛な二本の角。口からはよだれのようにまき散らされる紫色の毒液と毒息。


「毒をまき散らすモンスターがこんなにも恐ろしいとは……」


 剣を構えるサンジェルマンさん。

 距離を取って銃を構えるレオさん。

 今にもブチ切れそうなアンチクロス・ギルティブラッド。

 怯え切って私の後ろに隠れる五十嵐詩織。

 我々は今、ダンジョンに登ってモンスターと対峙している。


 ことの発端は暁が確認したモンスター討伐の報告書。それに付随して得られるモンスターの毛皮にある。

 くわえて、暁がダメ押しと言って、クロにレオさんの実力を認めさせたいという思惑があった。

 昨日の風呂場でのリアルファイトに勝利したとはいえ、もしやするとクロに疑念が残っているかもしれない。なので、一緒にモンスター退治をしてほしいという話しになった。

 あれだけ危険なことをさせられないと怒髪天になった暁が、どういう風の吹き回しをしたのか説明しよう。


 ♪ ♪ ♪


 朝起きてみると姫様がいない。リリス姫もいない。女将さんの話しによると朝風呂に興じているという。私だってまだ朝風呂に入ったことがないというのに、すっかりメリアローザの楽しみを覚えたようだ。

 できれば護衛のため、ひと声かけてほしかったところだが。


 食堂に出ると楽しそうにする二人のお姫様の姿がある。暁と一緒に食事をしている。

 彼女の冒険話しに触発されてダンジョンに行ってみたいとか言い始める前に話題を奪おう。

 聞くと、物理攻撃にも魔法攻撃にも耐性が高く、加工しやすい毛皮のローブがあるという。つやつやのふさふさ。魔力を流すとダイラタンシーの原理と同じ反応を示す。


「ものすごい防御力のもふもふローブ……?」


 なんだこれは。100枚はほしい。ローブなら軽いし温かい。冬の訓練や遠征にもってこいではないか。マジックアイテムだけでなく、防具やルーン技術の視察もしたいな。

 いつの間にか話しから離れた姫様を確認してモンスターと討伐の話しに移ろう。


「討伐難度が高いということだが、よければ我々にも討伐を手伝わせてもらえないだろうか」

「それは心強いです。しかし、実力者とはいえ客人を危険にさらすわけにはいきません。ですが討伐したいモンスターであることは変わりありませんので、異世界間交流が始まったら両世界で意見交換したいと思っております」

「そうか。一応、不意のモンスターとの戦闘を想定した装備は持って来てはいるのだが」


 内心、行く気満々である。

 言葉にはしなかったものの、レオさんもサンジェルマンさんも準備段階からモンスター討伐に参加する気満々である。

 というわけで、なんとかして暁を懐柔したい。

 なにか説得材料がないだろうか。

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