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異世界旅行2-3 待ちわびた時は眩しくて、遂に出会えて嬉しくて 5

「もしかして、件のカトブレパスを討伐しに行かれるのですか?」

「そうです。お恥ずかしい限りですが、カトブレパスをどう倒したものか苦慮しておりまして。サンジェルマンさんの提案で、ベルン側の技術や知恵で倒す方法がないかを現地に行って確認してくださるということなのです。無論、緊急転移のためのマジックアイテムは提供させていただきます」

「緊急転移のマジックアイテム! それはとても気になります。ちなみに、レオさんへのダメ押しというのは?」


 聞くと、暁さんはぐったりしたレオさんを見て、クロさんを見て、私を見て言った。


「昨日、クロとレオさんが戦って彼が勝利したそうですが、一応、レオさんが強者であることを証明しておきたい、と、レオさんから頼まれまして。こちらとしても、レオさんの実力をクロに認めさせることができれば、安心して送り出せるというものです」

「いつの間に二人が戦ったんですか!? そういえば、お風呂の時からお二人の姿を見なかったような……」

「まぁまぁ。それはもう済んだことですので」


 なぜだろう。どこか罪悪感のある苦笑いだ。

 それよりも、と踵を返して、暁さんが冷や汗を拭う。


「そうなるとお二人の護衛役なのですが、ロリム・シャイコースを選任します。彼女は第三者を護る魔法を持っているので適任かと思います」


 ロリム・シャイコース。アルマちゃんによく似たモノクロの少女。

 幼い見た目に反して魔力量と質が尋常じゃない子。素人の私でも分かる。魔力が意志と形を持ったかのような存在。

 魔力的な意味では護衛にうってつけかもしれない。だけど、私たちに必要な護衛は我々の甘言に惑わされてくれる人。且つ、秘密を共有して守り、一緒にダンジョンを登ってくれる存在。

 ロリムちゃんにそれができるだろうか。はなはだ疑問である。


 ここで自分の名前が聞こえたロリムちゃんが登場。

 我々の気持ちを知ってか知らずか、彼女は余計なことを口走る。


「護衛の任は構わないのですが、一人に一人の護衛でなくてよろしいのですか?」

「そうだな。二人が別々の場所に行くことになったら一人では護衛が足りないな」


 余計なこと言うなーーーーッ!

 一人増えたら私たちの計画が絶望的になるじゃない!

 ただでさえ自由に行動するのに護衛なんて邪魔なのに!


「ちなみに、今日のお二人の予定はありますか?」

「今日はだんじょ……」

「え、ダンジョン?」


 やっば!

 うっかり本音を言うところだった!


「え……っと…………ダンジョンの、フラウウィードにまた行こうと思いまして。あそこは自由に出入りできるのですよね?」

「ええ、フラウウィードにモンスターはいません。ですので、めいいっぱい羽を広げられますよ」

「あ、それと、食べ歩きもしたいです。どこかおススメの場所はありますか?」

「そうですね。おススメと言われるとどこもおススメですが、一昨日と昨日は蝶と太陽の食堂で食事だったので、次は猫の食堂、ラ・ミストルティンに行ってみてはいかがでしょう。旬の食材を使ったピッツァもパスタも絶品ですよ」

「それはとても素敵ですね。今日のランチはラ・ミストルティンにします!」


 よし、ランチの場所は決まった。今日の楽しみがひとつ増えた。

 じゃなくて!

 ロリムちゃんを護衛に据えたとして、彼女は私たちに協力してくれるのだろうか。ウララさんの占いの結果、やむなくダンジョンへ登らなくてはならないと言えば納得してくれるだろうか。

 メリアローザにおいて、ウララさんの占いの結果は絶対らしい。これに賭けるしかない!

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