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異世界旅行2-3 待ちわびた時は眩しくて、遂に出会えて嬉しくて 1

今回はダンジョンに素敵な出会いを求めるシャルロッテ姫様と、お転婆姫様に苦労させられるシェリー騎士団長視点で進みます。

気の置けない仲間だけで誰の監視もなく自由に行動したい姫様二人はなんとかして、こっそりとダンジョンに入るために画策します。

同時刻、シェリーはクロの手綱を握るために己の力を誇示するため、より強いモンスターとの邂逅を望んでしまう。冒険者でも手こずる防御力を誇るカトブレパスと戦うことに。


無事に姫様たちはこっそりと素敵な出会いに巡り会うことができるのでしょうか?

シェリーはクロに己の力を見せつけることができるでしょうか?




以下、主観【シャルロッテ・ベルン】

『薔薇の塔36層、ハニカムウェイの楽園エリアに素敵な出会いがありますよ♪』


 異世界旅行初日、占い師に言われた言葉ばかりが脳裏を走り回る。

 素敵な朝食の時も、フェアリーとスイーツを楽しむ時も、温泉に入ってまったりリラックスタイムを満喫した時も、ずっと頭にこびりついて離れない。


 素敵な出会いに出会いたい!


 だけど私はお姫様。勝手気ままに出歩けば、シェリー騎士団長を、暁さんを、怒髪天にすること間違いなし。

 ベルンに強制送還されるうえ、異世界間交流の大使役を解任される可能性大。


 だけど、素敵な出会いがあるのなら、私はどうにかしてハニカムウェイに行かなくてはならないっ!


 問題を整理しよう。

 私は戦闘能力がないので許可なく護衛なくダンジョンへ入ることはできない。

 これについては誰にもバレずに潜入すればいい。バレなければ問題ない。実に単純な解決法。

 しかしこれには課題がある。護衛に就いている桜ちゃんを引き離さなくてはならない。彼女は冒険者であり、私情を挟むことのない生粋のエージェント。泣き落とし、甘え声、同情の一切が通じない。

 力で組み伏せるなど論外。かと言って、護衛役を変えて欲しいと切り出すのも不自然。唯一自然なのはベルン騎士団員の誰かに代わってもらうということ。身内であれば交代を申し出ても違和感はない。

 だが、彼らは職務に忠実。ちょっとダンジョンに入りたいと言って聞き入れてくれるはずがない。

 私に味方はいないのか?


 否!


 私と心を同じくする同志がいる。

 リリス・エヴァ・アルスノート姫。

 彼女は私と同じお転婆お姫様。どうやって周囲の目を盗んでダンジョンへ入るかを考えてくれる。

 今日も二人仲良く朝風呂としゃれこんで、二人きりで秘密の内緒話を始めた。


「まずは桜ちゃんを引きはがさないとですが、なにかいい方法はありますか?」


 湯舟の中で足を伸ばし、両腕を広げてばしゃばしゃする私の隣で、タオルに空気を溜めてボコボコさせるリリスさんが難しい顔をして答える。


「桜ちゃんは職務に忠実なので、こちらからストレートにアプローチしても動かないと思います。桜ちゃんが護衛の任務を外れざるをえない状況を作る必要があるかもしれません」

「なるほど。桜ちゃん自身が自発的に離れるように仕向ければいいんですね! ですが、仮にそれができたとして、きっと別の人を護衛に任命するはずです。その人を誰にするかというのも問題かと」

「お姫様事情に理解があって、一緒にダンジョンに赴いてくれる人…………可能性があるとすれば、アンチクロスさんですね」

「えっ!? でもあの人、人の話しを全く聞かないですよね?」


 心配を表に出すと、リリスさんは自信満々な笑顔を見せた。


「アンチクロスさんは強者の指示はそこそこ聞きます。暁さんが護衛の任務をしろと言えば、必ずやります。それにあの人は単純なので、言い方次第で手のひらで転がせます。そのへんは私にお任せくださいっ!」

「さすがリリスさん! 頼りになりますっ!」


 両の手を組み合わせてアルペン踊りをぱんぱんぱぱぱん♪

 そうと決まれば善は急げ。血行がよくなって血の巡りが三倍速。頭の回転のよくなった我々は朝食へと繰り出す。

 さっそく、シェリー騎士団長と暁さんに直談判だ!

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