異世界旅行2-2 水晶のように煌めく時を 57
~おまけ小話『インヴィディアさんの料理』~
ベレッタ「インヴィディアさんが倒れたあとに、このお題でおまけ小話をするのって大丈夫なんですか?」
スカサハ「問題ない。死人が出る前に対処できてよかった」
ベレッタ「死人ッ!? そんなに不味い料理が作れるんですか?」
スカサハ「1000年も生きると舌がどうにかなるらしい。例外なのかもしれないけど。そんなことより、クラリスに入れ知恵したのは君だったな。彼女一人だったらあんな強硬策は取れなかっただろう。クラリスにとってよいか悪いかと言われれば微妙なところだが、とにかく、インヴィディアさんに真実を伝える機会を与えてくれてありがとう」
ベレッタ「いえ、そんな! というより、私はインヴィディアさんにクラリスさんのハーブティーを飲んでもらうための手伝いをしたつもりだったんですが……」
スカサハ「そうだったな。まさかこんな方向に話しが転んで行くだなんて私も想定外だった。インヴィディアさんがストレートに想いを伝えてほしいと言ったとはいえ、クラリスはよく料理激マズを口にできたな。私だって今までずっと言えなかったのに」
クラリス「今まではスカサハさんがいらっしゃったのでなんとか事なきを得ていました。でもこれからは、スカサハさんはエルドレーヌの国主となってメドラウトを離れます。そうなると、料理を食べたふりをして闇に葬ることができなくなります。死人が出てから気づいたら遅いと思いまして。もうここで言うしかない、と……」
スカサハ「ナイスファインプレー」
暁「そこまで言われると逆に気になるな」
スカサハ「暁さん、不死身だからって命を粗末にするのはやめてください」
暁「そんなに不味いのか……」
ラム「それなら一緒に料理してあげればいいんじゃない? 同じ要領で同じ材料で、同じように作れば同じような味になるでしょ」
スカサハ「それなんですが、どういうわけか同じ見た目で死ぬほど不味い料理が出てくるんです。料理を不味くする固有魔法か、でなければ呪いの類ですよ」
アルマ「死ぬほどいらないユニークスキル」
ベレッタ「いっそのこと呪いなら……解呪が…………」
スカサハ「いっそ呪いならよかったんだけど……」
暁「それはそれで大問題なんだが」
すみれ「大丈夫です! インヴィディアさんのクラリスさんたちに対する愛さえあれば料理は上手になれます! おいしい料理が作れるようになります。私たちでなんとかしてみせます! ね、ラムさん、ベレッタさん!」
ラム「うぐあっ! まさかの超ブーメラン! ベレッタの策に加担した責任もあるし。まぁやってやりましょうか。死人が出られても困るし」
ベレッタ「もちろんです! ちょっと強硬策すぎたかなって罪悪感がなくはなかったので。インヴィディアさんがおいしい料理を作れるように指導いたします!」
アーディ「罪悪感がなくはなかったのか」
シェリー「義妹が成長した姿が見れて嬉しいよ。方法はともかくとして」
ミレナは華恋に素敵な時計を作れて大満足。最後は華恋の宝石大好きマシンガントークに押されるものの、おおむね満足のいく結果で一日を終えました。
サンジェルマンはレオに嫉妬心を燃やしながらも、マジックアイテムの性能チェックと技術の共有を取り付けられて大団円。
風呂場に残されたレオはクロに襲われてしまい………………。
インヴィディアはクラリスの心を受け止めて撃沈。仲直りと同時に自慢の料理が実は激マズだということを知り、意気消沈して幕を閉じました。
当然、インヴィディアは母親としての威厳を取り戻したいと思っているので、どこかで料理に挑戦してしまうでしょう。その時にクラリスははっきりとノーを突きつけられるかは、今はまだ分かりません。
次回は、お転婆お姫様たちが今日まで息をひそめていた理由が明らかになります。
二人はウララの占いで、『ダンジョンのハニカムウェイに素敵な出会いがある』と告げられ、なんとかして暁やシェリーを出し抜いてダンジョンへ入れないか画策します。
そのためには護衛役の桜をひっぺがす必要がある。どうにかして彼女を引き離さないといけない中、二人の気持ちを(なぜか)察することのできたインヴィディアが護衛役を代わり、ダンジョンへと赴きます。
果たしてシャルロッテの素敵な出会いとはなんなのでしょうか?
同時に、前日の冒険者の報告書に目を通す暁の前に元気いっぱいのクロと、疲労困憊のレオが現れる。クロが冒険者の報告書を見るやいなや、レオの実力が知りたいと言ってモンスター退治を受注した。
輪をかけるようにサンジェルマンやシェリーも興味を示し、討伐に参加することになる。肝心のレオは空元気を空振りさせて青い空を見上げた。
彼らは無事にモンスター退治を完了することができるのでしょうか?




