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異世界旅行2-2 水晶のように煌めく時を 50

 リリィは諦めと寂しさを誘うため息をつき、ニャニャは大好きな後輩を抱きしめて慰める。

 よしよしと頭を撫でられるも、豊満な胸(嫉妬の対象)が押し付けられて悲しそうに唇を噛んだ。

 紫ちゃんに説教をするアルマちゃんはまだしばらく帰ってきそうにない。慣れない露天風呂のせいか、少しのぼせてきた。そろそろ湯舟を出よう。


 そして、わたしはクラリスさんに提案した作戦を決行するのだっ!


 ことは今日の昼頃。水晶鉱床の見学を終えて昼食をとっていた時、クラリスさんが懇願するように悩み事を打ち明けた。

 曰く、『大好きなインヴィディアさんがコーヒーに浮気して、私の大好きなハーブティーを全然飲んでくれなくなってしまいました。どうすればハーブティーを飲んでくれるでしょう?』とのこと。

 だからわたしは一般的に考えられる提案をした。


「素直に自分の想いを打ち明けたらよいのではないでしょうか? インヴィディアさんもクラリスさんのことを本当の娘のように接してらっしゃるようですし、お願いすれば飲んでくれそうですけど?」


 すると、齢1000歳を超える彼女の感性から、80年程度の寿命の人間の感覚から遠ざかった返答と態度が示された。


「私もストレートに打ち明けたんです! そしたら、『ええ、また今度、おいしいハーブティーをいただくわ♪』って言うんです!」

「いいことじゃないですか。ハーブにも旬はありますし、そんなに焦らなくてもよいのでは? インヴィディアさんにもその日の調子とか、マイブームみたいなものもあるでしょうから」

「ダメなんです! インヴィディアさんは1000年の時を生きる大悪魔。彼女の『また今度』が、50年後か100年後か分かったもんじゃないんですっ!」


 わぁー。時間感覚が3桁のやつー。


「もしかしたら、人間感覚の『また今度』かもって思って待ってみましたけど、全くハーブティーの注文をしてくれません。この間だって、久しぶりって言ったピアノの名手は70年ぶりの再会だったんですよ!」

「な、70年…………」


 この調子だと、クラリスさんがおばあちゃんどころか、ハーブティーを淹れる前に死んでしまう。

 彼女の愚痴は続く。


「そりゃ、インヴィディアさんにだって好みとか、ブームとかあるでしょう。でも、人間の世界で生きるなら、人間の時間間隔で生きてほしいんです! わがままなのはわかってます。でも、私は、インヴィディアさんに私が淹れたハーブティーを、飲んでもらいたいんです……!」


 ということで、今日は無理やりにでも飲んでもらいます。わたしとしては、クラリスさんの正直な気持ちをインヴィディアさんに打ち明けてほしいと思いま、いえ、打ち明けさせます、なんとしても!

 多少、強引な手を使っても!


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