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異世界旅行2-2 水晶のように煌めく時を 46

 僕のことを人生の師と仰ぐ彼は言葉遣いに違和感を覚えながらも、率直な感想を教えてくれる。


「味自体は、正直おいしくなかったっすね。でもまぁ入浴前ってことは生薬というか、漢方薬でしょうから、そんなもんかと」

「えっ!? 俺のは普通にジャスミンティーっぽい味でしたよ。ちょっと甘めだったんで砂糖か、アップルミントティーが入ってたんじゃないですかね」

「えッ!? 俺のはなんかの血っぽい味と馬の心臓とマムシエキスを三で掛けたみたいな味だったけど!?」

「僕のもベースがジャスミンティーみたいな味だったな。なるほどー。今夜はクロくんと同じ部屋に通されそうだね」

「えっ!? でも俺まだ婚約届出してないっすけど。まぁそっちが先ならそれはそれで」

「レオッ! 勝負しにきたぞッ!」

「「「ッッッ!?」」」


 振り向くと、そこには裸一貫のアンチクロス・ギルティブラッドの姿があった。

 いろんなものをすっ飛ばして直球勝負。

 状況はよく分からないけど裸の美女を前にしたアーディくんは股間をタオルで抑えながらダッシュで脱衣所へ逃げた!

 レオくんは硬直して、顔を真っ赤にして、人生最大の声量で叫ぶ。


「なんで男湯に来てんのありがとうございますッ!」


 狼狽する若人の心情などお構いなしに、クロくんは自分の関心事を押し付ける。


「暁から聞いたぞ。結婚する男女は銭湯で戦うんだろ?」

「なんの話し!?」


 なんの話しか分からないようでは男子失格だぞ?


「ついでにガキも作れるって聞いたぞ? お前と勝負ができて一石二鳥だ!」

「いや戦っても子供は作れ――――――――そういうことかッ! 暁にハメられてるぞッ!?」


 いや、これからハメるのは君のほうだ。


「ルールはお前が知ってるって暁が言ってたからさっさと教えろ! 初見だろうと俺が勝つッ!」

「ちょっと展開が急すぎやしないかッ!?」


 ひと目惚れして結婚を申し込んだ男の言葉とはとても思えんな。


 察するに暁くんの考えはこうだ。

 体力オバケ、近接戦闘スキル、魔法技術、補助魔法、結界魔法、複合魔法、状態異常魔法、自己回復もできるという怪物の中の怪物。

 そんな相手とまともに戦えるヒューマンがいるはずがない。僕が勝ったのも、彼女がシーサーペントなるモンスターと戦った後だったから。超辛勝だったからね。実は足がっくがくだったからね。

 さらに僕との戦闘で体力も魔力も削られた。今の彼女であればレオくんに勝てる見込みがある。


 超精力剤でドーピングされたレオくんと、入浴前のハーブティーらしき飲み物に毒を盛られて弱体化されたクロくんとなら勝てる可能性がある。

 ここで勝ってもらわないと、クロくんがベルンに来たあとの世界が世紀末。制御不能の暴力装置として世界を敵に回しかねない。

 つまり、レオくんの手練手管に世界の平和がかかっているっ!


「結婚相手との闘いに第三者がいてはならないというルールがある。これからは二人だけの真剣勝負。それじゃ、レオくん、頑張って!」


 ついでにサイレントの結界と人払いの魔法陣をプレゼントしておこう。

 どんな魔獣にだって臆することなく戦う第三副騎士団長が、これくらいの土壇場修羅場天王山を越えられないはずがないっ!

 とにかく頑張れ!


 そうして、彼と彼女を次に見たのは明日の朝だった。


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