異世界旅行2-2 水晶のように煌めく時を 17
ベルン組一行は七尾陽介が局長を務める魔術師組合に赴きます。数々のマジックアイテムの数と質の高さに驚き、あれもこれも欲しくなります。
今回は使い切りのインスタントマジックを実地で見たいということで、アルマたちとともにダンジョンへ向かうのですが、ここでレオ・ダンケッテに運命の人が現れます。
アンチクロス・ギルティブラッド。自分の関心のないことには徹底的に関心のない彼女に結婚を申し込み、即快諾。共にダンジョンに登るものの、サンジェルマンがクロの琴線に触れて大炎上。強者の言うことしか聞かないクロが大暴走。手綱を握る者がいない中、サンジェルマンは十以上もの魔剣を操るクロ相手に戦って助かるのでしょうか?
そしてレオは嫁になるクロを御することができるのでしょうか。
以下、主観【サンジェルマン・アダン】
フラウウィードとかわいらしい子供たち、そしてシャングリラの美少女たちに手を振って、エルドラドの水晶鉱床へ向かった。
この世のものとは思えない景色に心を奪われる。幻想的な、それこそ万華鏡の中に入り込んだのではないかと錯覚するようなミステリアスな世界には驚かされた。
水晶鉱床と同じく、エルドラドに住む女の子たちも素晴らしい。
生き生きとして、溌剌として、弾ける笑顔が眩しい。
とても元奴隷として劣悪な環境にいたとは思えないような振る舞いをする。それもこれも、暁くんが本当に素晴らしい人格者だということだろう。
聞くと、子供たちはみな暁くんのようなかっこいい大人になりたいと口を揃える。石切り場ではエルドラドを拓いた3人の銅像を建造中だという。それほどまでにエルドラドの人々は彼女たちを尊敬している。
「だけどこういうのって、当人が生きてる間に作っちゃうと、なんか超恥ずかしくないですか?」
「それは思っても言っちゃダメだ」
レオくんの指摘はもっともである。僕は暁くんと言葉を交わした回数こそ少ないが、謙虚な彼女がこのことを知ったら、『せめてあたしが死んでからにしてくれ』とか言いそう。
とはいえ、それだけ彼女のことを慕ってるということ。エルドラドと、少なくとも暁くんとは極めて良好な関係が築けている。我々としては宝石魔法を研究するためにエルドラドで採掘された宝石が必要不可欠。ベルンとエルドラドの間も良好な関係を築いていきたい。
水晶鉱床を見学して、エルドラドの大食堂の外にしつらえてある囲炉裏で一服。川むこうには収穫に勤しむ勤勉な人影と、荷運びを手伝うマンモスの姿あった。
マンモス。
獣人に出会うよりも超レア動物。背中に乗ってみたい。
「暁くんはエルドラドを観光名所にしたいって言ってたね。移動手段にマンモスを使う予定なのかな?」
リンくんに問うと、難しい顔をされてしまった。
「マンモスさんたちは基本的に川を中心に移動します。食料はそこらへんに生えてる草でいいんですが、水も大量に必要みたいで、できる限り水場を生活の中心にしたいみたいです。なにせあの巨体ですから。水晶鉱床の道中には川も湖もなくて、彼らはあまり近寄らないみたいです」
「なるほど。体温を下げるという意味でも水は必要だし、水晶鉱床への道中は獣道だったから、少し湿気もあったね。彼らにとってはあまりいい環境ではない、ということか」
「多少は我慢できるそうなのですが、できれば草原か、水と風のある土地が好みだそうです。力持ちなので、造船に必要な木材の運搬をお願いしてます。とっても頼りになって、とても優しいんです」
朗らかな笑顔がかわいらしい。嬉しいことがあると耳がぴこぴこ動くところも愛らしい。
リン・ランコォン。獣人のお嬢さん。シェリーくんの話しだと、以前に出会った時とは別人のように元気で快活な性格になっていて驚いたそうだ。
子供たちも元気いっぱいで、今では元気がありあまりすぎて困るほど。絵本のお姉さん、改め、ヘラくんが現れると本の読み聞かせをねだって仕方ない。
今も畑仕事の手を止めて、ヘラくんの話しに心をわくわくさせる。魔力を与えるとホログラムとして飛び出す図鑑を出して、ヘラくんは楽しそうに子供たちに読み聞かせる。
未知を知る楽しさを知った子供たちは、それはもう楽しそうにヘラくんの話しに聞きほれた。
素晴らしい傾向だ。好奇心は生への活力。彼らの人生は輝きに満ちたものになるだろう。




