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初めての衝動買い

 ティレットたちからお買い物を一緒に行こうと誘われたすみれたちはスーパーへ赴きます。

 スーパーという名の宝箱に入り込んだすみれは、ペーシェの後ろをついて回って右往左往。

 さぁ、彼女は宝箱の中から何を見つけるのでしょう?



以下、主観【小鳥遊すみれ】

 朝食を終えて幸せの余韻に浸っていると、お隣さんから声がかかって3時のおやつにプチティーパーティーをしようと提案される。

 ペーシェさんとルーィヒさんも呼んで、みんなでガールズトークをする。

 夢にまで見たガールズトーク!

 そうとなれば善は急げとお買い物。支度を済ませてみんなで一緒にお買い物。ゲストのペーシェさんとルーィヒさんも合流して、いざ出発。


 しようとするも、ペーシェさんがあとのことを考えて唸る。


「出発するのはいいけど、普段使いの食料品の買い出しも兼ねると、相当な量を持って歩くことになっちゃうよ。ここからスーパーは一直線だけど、路面電車は通ってないし、線路まで行こうとしたら逆に遠回り。ショッピングカートを借りるか、荷物持ちを召喚するか」

「荷物持ち?」

「連絡したら来てくれそうな男友達がいるんだよね。美少女たちにこき使われるなら本望ってやつ」

「それってパシリじゃ……」


 昨日会ったスパルタコさんが休日なら、秒でやってきてくれるとのこと。

 電話をかけようとするペーシェさんの前に出て、困った表情をしたティレットさんが止めに入った。


「す、すみません。男性はちょっと」

「あれ、ティレットは男嫌い? 男性恐怖症とか?」

「いえ、そういう訳ではなくて。お恥ずかしながら男性に対して免疫がなくて。社交パーティーでも、なんというか、縮こまってしまって」

「そっかぁ。じゃあ仕方ないね。頑張って運ぼう。あたしたちも手伝うからさ」


 重い荷物を運ぶのは、か弱い乙女には重労働。それでは、と、ハティさんが閃いた。


「重い荷物。分かった。街の景色も見てみたかった。だけど、それはまた今度だね。じゃ、空間移動(テレポート)


 ハティさんが最後の言葉を言い切ったと同時に景色が変わる。住宅街からスーパーの前に早変わり。

 テレビのチャンネルを切り替えるように、パッと世界が飛んで見えた。

 何事もなかったかのように、キキちゃん、ヤヤちゃん、アルマちゃん、ハティさんは、呆気にとられて立ちすくむ我々をよそに、何を買うかを相談する。

 お互いの顔を見渡し、誰も何が起きたのか理解できないでいるのを確認すると、『とりあえずまぁ買い物をするか』と、無理やり自分を納得させて突然の出来事から目を逸らした。


 フレッシュで色とりどりの野菜から始まり、新鮮な魚介類、鮮やかな生肉、量り売りされているバラエティ豊かな惣菜の数々。

 照明に反射してキラキラ輝く飲料コーナー。

 コミカルなキャラクターの描かれたパッケージ。

 宝箱のような店の中は人の波。

 誰かと一緒にいないとはぐれてしまう。はぐれてしまう自信しかない!


「エマとすみれを確保! 一緒にお買い物しよう!」


 ペーシェさん降臨!

 これでひとまずは安心だ。だけど、ティレットさんの従者のエマさんは主人が心配な様子。


「し、しかしお嬢様が」

「あっちはルーィヒがついてるから大丈夫。大勢がひと固まりになってたら、他の人に迷惑になっちゃうからね。地元を知ってる人がついてた方がいいっしょ。ハティさんのほうはヤヤちゃんがいるから大丈夫だってさ」

「そういうことなら、お願いします」

「じゃあまずは何を買おうか。ハティさんチームは食料品を買い込むって。ルーィヒの方は食料品もだけど、パーティーで食べるお菓子とかだってさ。こっちもそうしようか」


 パーティーで食べるお菓子とはどんなものか。

 そもそもお菓子ってなんだろう。

 おやつと同じかな。私が食べていたおやつと言えば、にぼしかスルメイカなんだけど、みんなが考えるお菓子とは絶対違うよね。

 訳が分からぬままに、ペーシェさんとエマさんの後について行く。世俗に疎い2人を気遣って、『気になることや分からないことは何でも聞いて』と声をかけてくれるひと言の、なんと頼もしいことか。


 お菓子コーナー。どれが何でなんなのか全くわからない。

 チップス?

 クッキー?

 ジェリービーンズ?

 聞き慣れない言葉とポップなイラストが棚にぎっしりと詰まってる。エマさんもほとんど私の気持ちと同じようで、クッキー以外のお菓子には目を細めて、これはおいしいのかどうかと首をかしげた。


 次はジュースの陳列棚。透明なボトルにカラフルな飲み物が入ってる。とっても甘くておいしいんだって。

 飲んだことはない。分かんないので好きな色を選んでしまえばよさそうな気がする。

 ひと際赤い色をしたボトルが目についた。何を隠そう小鳥遊すみれ、赤色が大好きなのです。

 地毛の色のひとつということもあるけれど、赤色ってなんだか明るくて力強くて、太陽を連想させる色だから好き。

 おもむろにそれを入れると、ペーシェさんが止めに入る。多分、誰かが買うのをやめて、そのまま置いてしまった商品。しかも飲料水ではなく調味料らしい。

 よくわからないけど、それはそれで使うこともあるかもしれないのでカゴに入れておく。赤色なので。


 エマさんは吸い込まれるようにお酒(リカー)コーナーへ誘われた。

 グレンツェンでは15歳から成人として認められ、アルコール度数が4度以下の種類に限り、15歳以上でも飲酒が認められている。そのほとんどはワインか果実酒(フルーツワイン)が主な取り揃え。甘めなお酒が多い。

 エマさんはお酒に目がないらしく、夕食には必ずお酒を添えるのだそう。

 今日は甘酸っぱいと評判の倭国産の梅酒を購入。頬ずりまでしてすごく嬉しそうだ。


 最後に見て回ったのは鮮魚コーナー。島ではよく海の幸を食べたせいか、どんなお魚さんが並んでいるのか気になったからだ。

 アジ、サケ、ニジマス、イワナ。ちょっぴり表情は違うけど、身に覚えのあるお魚さんが並んでいて少し安心した気持ちになる。

 中でもイチオシ商品の鯛はとっても立派なお姿をしていらっしゃる。

 鯛。兜煮、すまし汁、御造り、鯛めし。

 よし、今日の晩ご飯は鯛にしよう!


 初めてのお使いならぬ、初めての衝動買い。しかも2匹。

 そうだ、こんなに友達がいっぱいできたんだ。めでたいじゃないか。そうとなれば、鯛しかないじゃないか。

 お祝い事には鯛が一番。ひゃっほぃ!


 まさかの鮮魚チョイスに、ペーシェさんの心配が募る。


「買うのはいいけど、すみれ、それ捌けるの? あたし無理だよ」

「大丈夫! ナマコの砂抜きからマグロの解体までいける!」

「なんだか分かんないけど、捌けるならよかった」


 ちゃんと捌けます。お魚も、鶏も、どんなお野菜だっておいしくしちゃう。

 きっと料理は私が自慢できる唯一のこと。

 きっともっと上手な人はいるだろう。だけど、今日ここでみんなにおいしいって言ってもらえるように、超超超がんばりますっ!




~おまけ小話『公園へ行こう』~


キキ/ヤヤ「「市場の中、ちょーさむいっ!」」


ペーシェ「市場? スーパーだけど、まぁいいか。温度はこんなもんだと思うけどな」


エマ「食品の鮮度を保つために、建物の中は冷房を効かせてますからね。春先とはいえ、スーパーに出かける時は薄着を羽織ったほうがよいかもしれません」


ガレット「キキちゃん、ヤヤちゃん。ウォルフさんの隣がぬくぬくですよ」


キキ「え? あ、ほんとだ。なんかちょっとぬっくぬく♪」


ヤヤ「うわぁ。あったかいです♪」


ウォルフ「あったまるのはいいけど、歩く時は気を付けてくれよ?」


ティレット「しっぽをぶんぶんさせて、嬉しいんですね」


ペーシェ「分かりやすくてかわいいな」


ハティ「しっぽぶんぶんがかわいい? あ、しっぽがない」


ペーシェ「いやまぁ、ハティさんは肩車とかしてあげたらいいんじゃないですか?」


ハティ「わかった」


ペーシェ「ええ、ハティさんは背が高い、から、って、ええ? なんであたしを!?」


キキ/ヤヤ/ガレット「「「わぁ~。すっごくたか~い」」」


ペーシェ「お、ろ、し、て、く、だ、さ、いっ!」


ハティ「どうだった?」


アルマ「(高身長がコンプレックスなので、高いって言わないようにお願いします)」


ペーシェ「え…………っと、いろんなものが見渡せました」


ハティ「そっか! よかった!」


エマ「なんにしても、スーパーでやることじゃないので、ご自重ください」


キキ/ヤヤ/ガレット「「「いいな~♪」」」


ペーシェ「うん。公園に行こうか」

 おめでたいことには鯛料理。島育ちの小鳥遊すみれは魚料理が大得意。

 内陸にあたるグレンツェンでは、魚は食べても調理はしない人がほとんど。

 ペーシェもルーィヒも、料理はしても魚を捌いたことはない。料理してもらうのは嬉しいけれど、本当に 料理ができておいしくなるのか半信半疑。


 次回は、引っ越し祝いのディナーの前に、ティーパーティーを開催します。11人の大所帯のティーパーティー。どんな様子になるのでしょう?

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