異世界旅行2-2 水晶のように煌めく時を 12
あたしがスイーツ巧者じゃないことがバレないように、本格的なスイーツから離れつつも、それらしいアドバイスを考えるとしよう。
「以前からハーブティーは飲んでくれてたんだよね。その時はどんなスイーツを食べてたの? 思い出のスイーツとか、お気に入りとかあるなら、そこから攻めてみるのもいいんじゃないかな?」
「それなんですが、ほとんどはクッキーかシフォンケーキか、メリアローザのスイーツに比べると本当に簡単なものばかりで。あとは単純に果物をそのまま食べるくらいしか」
「それならメリアローザでハーブティーに合うスイーツを覚えて帰ったらいいんじゃない? おいしい手作りスイーツに真心のこもったハーブティー。インヴィディアさんだって絶対に喜ぶよ」
「な、なるほど! でも私はあくまでよそ者ですし、お邪魔になるわけには……」
「大丈夫。料理大好きっ子がいるから。あとで声をかけよう。2つ返事で飛んでくるよ」
先頭を飛ぶ魔法の絨毯の上には三色髪の少女がいる。彼女に料理やスイーツの話しを持ち掛ければ、無条件で釣れる。
そしてハーブティーに合うスイーツを試食と称して味見できる。
素晴らしいではないか!
水晶鉱床なる場所にたどり着き、すみれを捕まえて道中の話しをすると、太陽が如き眩しさを宿した双眸であたしの心を燃やしにきた。
なんて力強く、希望に満ち満ちた笑顔なのだ!
これは期待が持てますな!
♪ ♪ ♪
水晶鉱床。
床も、壁も、天井も、全てが水晶でできた自然の奇跡。
カラフルな内包物が織りなす花吹雪を閉じ込めた水晶の神殿。
華恋が推すだけのことはある。ずっと見ていて飽きない美しさがここにある。
「で、華恋はこれを切り出して大時計の素材に使いたいのか」
「はいっ! ガーデンクォーツの大時計。きっと世界に二つとない、世界一美しいアンティーク時計ができると思います!」
ここにも太陽が如き眩しさを宿した双眸であたしの心を燃やしに来る少女が現れた。
本音を言うと、あたしもめっちゃ見てみたい。クリスタルの大時計。ファンタジーの世界でもなければお目に掛かれない。
超作りたい。
けど、これ、暁がオーケー出すかなぁ~?
「暁さんなら大丈夫ですよ。彼女は芸術は人生を豊かにするために必要なものだとおっしゃってました。なので、クリスタルの大時計だって許可してくれるはずですっ!」
希望的観測100パーセントだな。
「安心してください。私が暁さんを丸め込んでみせますっ!」
華恋の鼻息が荒くなってきた。
目も血走ってきた。
テンションとやる気がオーバーフロー気味だ。
「お、おう……あたしも全身クリスタルの大時計を作ってみたい。しかし、ここは暁の所有物だそうだし、観光地にするってなると資源の利用に制限があるはずだ。おいおい相談するということで保留しよう」
「そうですねっ! ひとまず保留しておきましょうっ! あ、そうだ、この先に金鉱床があるので、できればそれも使いたいですねっ!」
どんどん話しを盛り合わせてくるなぁ……。
金鉱床って、マジかよ……。
マジだった。
光源を作る魔法で照らされた岩窟は金の粒子をたっぷりと含み、魔法の光を反射してきらきらと瞬くように輝いた。
満点の夜に抱かれるような、壮大な景色を前にして、華恋はさっきと同じ調子でいる。
「どうですか! これを水晶時計の中に入れて、水晶越しに覗くんです。カラフルな水晶と金を含んだ鉱石とのコントラストが楽しめる、まさに唯一無二のアンティーク時計ができると思うんですっ!」
華恋はあたしが思っていた以上にぶっ飛んだ感性を持ってるようだ。
だからこそ、ステラで一緒に働きたいっ!




