異世界旅行2-2 水晶のように煌めく時を 8
少女は考える。
どんなアイデアが飛び出すのか。あたしはわくわくして待つ。
「時計から光の蝶々が飛び出すアイデアは我ながらナイスだったと思います。飛び出す系で言うと、そうですね、時計から麻酔じゅ
「はいそれ絶対やったらダメなやつだからッ!」
なんてことを思いつきやがる。時計からわざわざ針を発射する必要なんてないだろ。
つっこんで、アルマは振り上げた拳を下ろすために、『それは冗談として』と踵を返した。多分、本気で搭載しようとしたな。
「えっとですね、アルマは腕が無いので、魔力を通すと時刻が脳裏にびびっと伝わるやーつとかあると便利だと思います。ネックレス型の時計もオシャンティーだと思います」
「なるほど。一般的な腕時計の観念しかないあたしたちからは出ない発想だね。仕事柄、何度も時間を気にする人とか、腕時計したくない派の人への新しい切り口になるかも。うん、それはいいアイデアだね。やっぱりアルマもステラで働こう」
「しれっと堂々と勧誘してきますね……」
「だってほんとにアルマと仕事したいんだもん」
「そう言ってくださるのは嬉しいです」
くっそー!
どうあっても首を縦に振ってくんねー!
そりゃまぁ魔法を勉強したい子だから、行くならベルンだろうけどもー!
露骨に残念なため息が出る。隠す気力もなくなってきた。
あたしのため息を見て、猫のプリマにまたがったローズマリーが心配そうに声をかける。
「どうしたの、ミレナ? なにか困ったことがあるの?」
「え……っと、困ったことがあったけど、今一気に吹き飛んだ」
「そっか、それはよかった!」
目の前にいきなり面白い世界観が飛び込んできた。
猫にまたがるフェアリー。なんだこれ。面白すぎる。
猫だけじゃない。放し飼いの鶏にロデオするフェアリーがいる。なんだこれは。悩み事など跡形もなく粉々になってしまった。
かわいい。脊髄反射的に写真を撮ってしまった。被写体に断りもなくボタンを押してしまう。が、もうこれはどうしようもないのではないでしょうか。
事後承諾を取ろう。
「あ、ごめん。無意識に写真撮っちゃった。保存していい?」
「しゃしん?」
しまった。機械文明のないフェアリーには写真のことは分からないか。
どうやって説明したものか。吹っ飛んだ端から悩みが増える。人生とは苦悩の連続よのぉ。
「アルマ、いい感じに説明してくれ」
「まさかの丸投げ。えっと、前にもローズマリーたちと『写真』を撮ったよね。ボタンひとつで、一瞬でお絵描きしちゃうマジックアイテム」
「あ、覚えてる! すごい。ミレナも持ってるんだ。いいなぁ。それがあったら、いつでもどこでも思い出を絵にできるんだよね。いいなぁ。私も欲しいなぁ~」




