異世界旅行2-2 水晶のように煌めく時を 7
レーレィさんはすみれのほっぺをつんつんして、最後は彼女のお口にタルトを押し込んだ。
「もぐもぐ、ごっくん! 秋の味覚満載で、幸せてんこ盛りですね~♪ ちなみに、時間があればニャニャさんとリリィさんと一緒に、相談してくださったスイーツをメルティさんと作りたいと思うのですが、よろしいですか? テレビ通話でスイーツ作りを指南できるとはいえ、できれば直に教えたいんです」
「願ってもないです。こちらからお願いしたいです」
「私もお願いします。おいしいスイーツ作りたいです!」
「あ、それよかったら俺もいいかな? 視察のスケジュールが彼女たちと一緒だから、そこんところは大丈夫なんだけど」
まさかの伏兵登場!
レオ・ダンケッテさんが現れた。
巷ではスイーツ男子と噂の彼は、魔銃だけでなく料理もできるという。さすが、女の子に気に入られるためならなんでもする男!
続いてレーレィさんも参戦。
あたしはというと、大所帯になりそうだからというそれっぽい言い訳をして逃げる。
いや、逃げたんじゃない。あたしは華恋と芸術的な話しがしたいんだ。嘘じゃない。それは本当である。
よーし、この話しはボロが出そうだから話題変えよーっと。
華恋に話題を振って、スイーツ作りトークが飛び火しないように気をつけよう。
「シャングリラ組の子たちとライラさんは故郷に戻るとして、あたしたちはエルドラドに入って水晶鉱床に行くんだよね? もしかして、結構距離あるの? エルドラドから見た感じ、近くに鉱床のありそうな場所はなかったけど?」
「場所自体は少し遠いですが、魔法の絨毯に乗って空を飛んで移動するので体力的には大丈夫だと思います」
「もしやあれか。メリアローザの空をひっきりなしに飛んでるやつ」
グレンツェン側の世界では絶対にお目に掛かれない光景がメリアローザにはあった。
空を縦横無尽に往来する姿が新鮮かつ奇妙に見える。魔法世界の代名詞。空を自由に移動する光景。箒に、絨毯に、靴に魔法をかけて空を飛ぶ。
グレンツェン側の世界ではプライバシーの観点から、街中での飛行はおろか、公道でだって空を飛ぶことなんてできない。
それがメリアローザ側の世界でならできる。
彼女たちにとっての日常も、我々にとっては非日常。堪能しなくては損というもの。
「それは楽でいいな。魔法が便利に使われる世界。いろいろと見て回って、グレンツェン側の世界でも使えそうな技術があったらいいな」
「それでしたら! ぜひともマギ・ストッカーとエーテル体結晶をおススメいたしたくっ!」
どこからともなくアルマ参上!
たしかにマギ・ストッカーがあればいろいろできそう。でも正直、それは電気で代用できそうだけど……。
「電気でも代わりはできるかもしれません。でも、魔力を動力にすれば、容易に魔法由来のギミックを動かすことができますよ。魔法由来のギミックを動かすことができますよ!」
「相変わらず圧がすごい! ところで、うちは時計屋なわけだけど、時計に魔法を付与するとしたらどんな魔法を使う?」
「うーん、そうですね~……」




