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異世界旅行2-2 水晶のように煌めく時を 6

 ラムもラムでラクシュの幸せが一番。だから余計なちょっかいは出してこない。死ぬほど悔しそうな顔をしてるけど。


 ラクシュにあーんして、バーニアにもあーんして、ラクシュにお返しにってホットケーキをあーんしてもらってマジ最高ですやんっ!


「あぁ……満足だ……。もう帰ってもいいくらいだ」

「ちょっとミレナさん!? 時計のこと忘れないでくださいね!?」


 冗談と分かってても、是が非でも時計が欲しい華恋があたしの肩をゆする。

 ふふふのふ。大丈夫大丈夫。仕事はちゃんとしますがな。


 幸せ朝食(デザート)のあとにハーブティーで一服。からの、秋限定スイーツが現れた。

 米パフで餡を挟み、中には栗がまるまる一個入った贅沢スイーツ。餡はカボチャ、小豆、芋の3種類。栗は大粒で香り高い品種。見た目はこじんまりしていながらも、食べてみると結構なボリュームがある。


「米独特のめっちゃいい香りがする! これ、移り香の魔法でアロマオイルにして米パフオイルウォーターとかってできるかな?」


 バーニアに問うと、答えはイエス。

 イエスッ!


「移り香の魔法はどんなものからでも香りを移すこのできる魔法なのだ。だからやってやれないことはない。スイーツのバスボムだって、移り香の魔法でスイーツから香りをもらったやつなんだからっ!」

「バーニアすごい! フェアリーのみんなもすごい! みんな大好き!」

「えへへ~♪ バーニアもみんなのこと、大好きだよ!」


 あーもーほんと早く異世界間交流が始まらないかなー!

 バーニアたちフェアリー全員、グレンツェンに招待してー!

 ぎゅっとほっぺを抱きしめてぷにぷにしてくれる。あたたかくて心地いい。もっとぷにぷにしてくれーっ!


 続くスイーツは生地にカボチャを練り込んだ柿のタルト。超完熟した柿ジャムの上に熟した柿を添えた、秋をまるごと楽しめる贅沢スイーツ。

 秋の情景を想起させる優しいオレンジ色と黄色っぽい生地もさることながら、焼きたての香りにきらきらと光るジャムの光沢と、見た目は落ち着いていながらも郷愁を誘う姿にうっとりと見惚れてしまう。

 さっくさくのパイ生地とあまあまなタルトが口の中で合わさって、いつまでも噛みしめていたくなるような、夢心地になる秋色スイーツに一同大満足。


 これを食べて、正面に座るニャニャ・ニェレイが声を上げた。


「むむむっ! これはもしや、すみれが提案してくれたタルトと同系統なのですっ!?」


 ニャニャの雄たけびを聞いたリリィはすみれに声をかける。


「すみれさんがおっしゃったスイーツはレーヌ・クロードでしたが、もしかしてこれが元ネタですか?」

「そうなの! すっごくおいしいでしょ! でもでも、グレンツェンやベルンで流通する柿は品種的にそんなに甘味が多くないの。でも超完熟させたら甘さが出る。レーヌ・クロードと合わせて使えば、甘くておいしいタルトになる。実際、うちで試作したレーヌ・クロードのタルトは好評だったよ。シルヴァさんも推してくれたから間違いない! はっ! 敷き詰めたレーヌ・クロードの中にミラベルをいくつか入れると、見た目もより鮮やかになって、味変も楽しめて一石無量大数かもしれない!」


 超完熟させた柿ジャムとレーヌ・クロードとミラベルを敷き詰めたタルトだと!?

 絶対おいしいやつじゃん!


 あたしが食いつくより早く、レーレィさんが叫ぶ!


「なんでそんなおいしそうなレシピを作ったのに教えてくれなかったの!? すみれちゃんのいけずっ!」


 レーレィさんは机を半周回って対岸にいるすみれにくっついた。

 世代を超えていちゃつける同性同士の関係か。あたしもエリザベスと仲がいいからレーレィさんの気持ちは分かる。ついこの間に、アルマが企画したクリスタルパレスの案件でもみ合ったからな。

 素敵なアイデアがあるならば、友人にも教えておいてほしいものなのだ。


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