異世界旅行2-1 秋風吹きて夢心地 57
~おまけ小話『明日を少しのぞこう』~
ラクシュミー「ばにらうぉーたーがあまあま~♪ おはなのかおりのじゅーすがきらきら~♪」
ハティ「とっても素敵だった。ベレッタ、本当にありがとう」
ベレッタ「そんな、お役に立てたなら幸いです。わたしも想像した以上においしくて、ついつい飲みすぎちゃいました」
ラクシュミー「ばにらはすてき! ばにらのきがほしいっ!」
ハティ「私も欲しいっ! 暁に相談しよう!」
ラム「バニラビーンズが作れるようになれば、スイーツの幅がぐっと広がるね。その様子だと、シャングリラにはバニラがないんだよね? グレンツェンのある世界にはバニラを使ったスイーツがたくさんあるから、よかったら教えに行かせてもらえるかな?」
ハティ「もちろん! ありがとうっ!」
ラム「よっしゃあ! どういたしまして!」
ラクシュミー「らむおねえちゃんがすいーつをおしえてくれるの? うれしいっ!」
シルヴァ「ラムさんはお酒関連のお菓子しかレパートリーがないじゃないですか。お菓子と言えばこの私、シルヴァ・クイヴァライネンにお任せあれ♪」
ペーシェ「ラクシュは果物が好きなんだよね。あたしがおいしいタルトタタンを作ってあげるよ♪」
ローザ「カラフルなお花も好きなんだよね。自家製のローズシロップを使ったスイーツと、ローズシロップの作り方も教えてあげちゃう♪」
ラム「おいちょっとなんで異世界旅行組じゃない3人が突然現れてんだ!? 私の見せ場を横取りするな! マジでやめろ。ラクシュに『お姉ちゃんすごい』って言ってもらいたいんだっ!」
ベレッタ「動機が…………そ、それはまたおいおいみんなで仲良くスイーツ作りをするということで。あ、そうだ。3人は以前、フラウウィードでブレックファーストを楽しんだんだよね。その時はどんなものを食べたの?」
シルヴァ「よくぞ聞いてくれました! 黄金のシフォンケーキ。春色のよくばりプリン。それから」
ラクシュミー「ぷりんっ!」
ペーシェ「もっちもちのどらやきまりとっつぉ。爽やかなハーブティー。それに」
クラリス「ハーブティー!」
ローザ「どんどん人が増えるわね。人のこと言えないけど。あとはラベンダーのヨーグルトケーキ。八朔やあまなつ、フサスグリを使った寒天も食べた。どれもほんとうにきらきらでおいしかったな~♪」
ラクシュミー「わくわく♪」
クラリス「明日はどんな朝食になるんだろう。楽しみだなぁ~♪」
ハティ「分かった。明日を少しだけのぞいてみよう」
ベレッタ「そんなことができるんですか!?」
ハティ「ちょっとだけ」
ペーシェ「ちょっとでもすげーけど……」
ハティ「それじゃ、ここから明日の朝をのぞいてみよう」
ラクシュミー「おぉ~っ!」
ラム「ちょっとってもしかして、親指と人差し指で作った輪っかのこと? 未来がかすかに見えるって意味じゃなくて、見える範囲が狭いっていう意味?」
シルヴァ「さすがハティさん。常識に囚われない女」
ローザ「もう少し囚われてくれてもいいんだけど……」
ラム「それでそれで、なにが見えるの? お姉ちゃんにも少し見せて♪」
ラクシュミー「ふわふわなぱんけーきがみえる! くだもののこんぽーともあるっ! あさひがきらきらで、あさつゆもきらきらで、みんなのえがおがきらきらしてるっ!」
ペーシェ「みんなのえがおがきらっ――――グハッ!」
ベレッタ「えっ!? なにッ!?」
ローザ「お前はもう帰って寝ろ」
ラクシュミー「わたちもねる! あしたがとってもたのしみ!」
ハティ「うん。きっと明日もきらきらがいっぱいだ♪」
無事に1日を楽しみ、子供たちの不貞腐れ顔を笑顔にできたベレッタは、また一段と大人になったかもしれません。
彼らの笑顔を前にして、ありがとうを言ってもらえて、ベレッタは少しずつ成長していきます。
次回は、ステラ・フェッロの時計職人、ミレナ・ゼイ主観のストーリーです。
彼女は華恋の無茶ぶりを気に入り、知らず知らずに異世界渡航してしまいました。終わったことはしょうがないし、華恋が異世界人だろうがなんだろうがステラに勧誘して一緒に仕事をしたいミレナ全力で華恋に猛アピールします。
果たしてミレナは華恋を勧誘することはできるのでしょうか?




