表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
683/1084

異世界旅行2-1 秋風吹きて夢心地 55

 シェリーさんの本気の抱擁が全身を包む。

 はちみつと聞いて、クレアちゃんが興味深そうにわたしたちを見た。

 どうやら彼女もはちみつに興味があるみたい。だよね。そうだよね!


「クレアちゃんもはちみつに興味ある?」


 聞くと、満面の笑みを作って飛び跳ねる。


「うんっ! はちみつ大好き! でも蜂さんには針があって、子供は危ないから近づいちゃいけないの。シャングリラでも養蜂はやってるけど、お手伝いはできないんだ」

「そうだよね。針が刺さったら危ないもんね」


 だけれども、大人がやることに子供は興味を持つ。

 彼女も養蜂に興味がある。養蜂全てでなくとも、はちみつ採取の体験くらいはできないだろうか。

 暁さんに聞いてみよう。


「暁さん、コピアのはちみつはどのように採取されるのでしょうか?」

「日よけの笠に蜂が近寄らないようにするためのインスタントマジックを仕込むんだ。くわえて、魔法で一時的に蜂たちを空の巣箱に誘導、隔離しておく。その隙にはちみつを採取する手法を採用してる。専用の笠と巣箱の用意さえあれば、子供たちでも安全にはちみつの採取ができるよ」

「な、なんて素晴らしい! これが魔法技術の発達したメリアローザ。簡潔で安全なはちみつ採取ができるなんて素敵!」

「うぅむ、あたしたちとしては普通のことなんだが、グレンツェンではどうやって採取してるの?」

「防護服を着て、重箱の一段目の巣板を引っこ抜いて採取します」

「そうなのか。思いのほか力業なんだな」

「力業…………」


 これが異世界間ギャップというやつなのか。わたしたちの中ではこれが一般的なんだけどなぁ。

 ともあれ、異世界間交流が始まった時には魔法技術を用いたはちみつ採取の手法を取り入れられるか打診してみよう。


 クレアちゃんはわたしたちの会話を聞いて、暁さんにお願いをする。


「つまり、クレアたちでもはちみつを採取できるの?」

「そういうことだ。エレニツィカに頼んでみるとしよう。この時期なら必ずはちみつ採取に参加するはずだ」

「おぉーっ! やったー!」


 新しい体験ができると知って、クレアちゃんは満面の笑みになる。ほかの子供たちも、大人にしかできない仕事ができると聞いて大喜び。

 バニラウォーターも底をついた。そうとなれば明日の朝を万全に過ごすために早く寝よう。

 子供たちはハティさんを急かして用意された大広間へと走り出す。手を引かれ、背中を押されるハティさんは本当に楽しそう。

 たくさんの笑顔に囲まれる。

 なんて素敵な景色だろう。

 わたしもいつか、彼女のようになりたいな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ