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異世界旅行2-1 秋風吹きて夢心地 49

「その子の名前を教えてください。ロリム、メモを取ってくれ」

「エリン・バックバラン。写真もあるよ。この子がそう」

「これ、お預かりすることはできますか? ウララに見せて占ってもらいます」

「それはもちろん構わない」

「ありがとうございます。エリンの魔法適正を教えてください」

「水魔法。ヒールが使えるから、メリアローザ的には光属性もあるのかもしれん」

「了解です。魔法の触媒としての魔剣ということになると、脱色化した魔剣にしても、自然のマナを内包した魔剣にしても、最終的には彼女に触れてもらって、エリンの魔力で染色することになります。日取りはマジックアイテムが完成してからということになるので悪しからず」

「もちろんだ。しかしできる限り早いほうがいい。来年の進級試験に間に合うようにしたい。それに、魔法の努力はしてきたが、マジックアイテムを使って魔法に慣れるのには訓練がいるだろうから」

「承知しました。華恋の所感を教えてくれ」

「そうですね。医者ということは手を使うわけですし、でも訓練をするなら、マジックアイテムは手に近いほうがいいと思います。訓練中は腕に、仕事中はネックレスにできるようなデザインがいいかもしれません。サイズ調整できるチェーンタイプの腕輪。私が作ったピアスと同じように、魔力で着脱できるタイプだと便利かも。アルマはどう思う?」

「アルマも触媒を用いた魔法の訓練をするなら、手に近い場所に装着するか、手に持てる形に賛成です。できればより指先に近い指輪が理想的ですが、指先に邪魔なものがあって、手元が狂うだけで医療現場は大惨事だと思います。そのへんのところ、ヘラさんはどう思いますか?」

「私も華恋ちゃんの意見に賛成。華恋ちゃんのピアスみたいにがっちりくっつくなら、ネックレスになるようにはしなくていいと思う。ようは腕につけたマジックアイテムがぷらぷら揺れなければいいんだから。それに、2人も言ったように魔法の触媒のためのマジックアイテムなら、手に近いほうがいいと思う。問題は素材だけど、エディネイちゃんが使った魔剣は自然の火のマナで鍛えたものだよね。今回は水だけど、自然の水のマナを内包した鉱石はあるの?」

「それはもちろんです! なんたってそれは

「おっと、アルマ。資源の場所についてはトップシークレットだ。それに、こういう情報は彼らも知らないほうがいい。ですよね、サンジェルマンさん」

「そうだね。世の中には知らないほうがいいこともある。さっきも言ったが、綺麗ごとだけで世の中を回してるわけじゃない。中には異世界の資源だけを求めてやってくる連中もいるかもしれないからね」

「あらやだ。私ったら余計なことを聞いちゃったわ。ごめんなさい」

「いえ、ヘラさんのせいではありません。そう言ってくださるだけで結構です」


 綺麗ごとだけで世の中は回らない。

 その言葉を聞いたインディヴィアさんがシリアルキラーの顔を覗かせる。


「そういう自分勝手な輩は憧れないわ。見つけ次第、悪★即★斬! ね♪」

「インヴィディアさんのそういうところは頼もしく思いますが、もう少し穏便にお願いします」


 肩をすくめる暁さんを前に、インヴィディアさんは妖艶で嗜虐的な笑みを浮かべた。


「暁ちゃんは優しいのね。そういうところは憧れるけど、世の中には煮ても焼いても食えない邪悪ってあるものなのよ…………ふふふ…………ふふふふふふふ……………………」

「インヴィディアさんに言われると説得力が凄まじいです……」


 さすが1000年の時を生きる大悪魔は人生経験の質と量が違う。

 含蓄がありすぎる言葉に、冷たい秋風も凍りついた。


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