異世界旅行2-1 秋風吹きて夢心地 48
ガチで切実なやつだった。
ライラさんの話しを聞いて、暁さんとシェリーさんの怒りが収まる。
暁さんは大きなため息をついて、小さく笑った。
「そういうことでしたら、協力させてください。ライラさんには借りがありますからね」
すかさずシェリーさんが、ライラさんに作ったらしい借りについて指摘する。
「あれを借りだと感じる暁の懐の深さに脱帽だよ。てっきり相殺されたと思った。いやまぁ、アレについては私も共犯だから大きなことは言えないが」
「前にも申し上げましたが、食料の確保はいつだって急務です。本当に助かったんですよ」
暁さんは感謝のしるしに、シェリーさんとライラさんに小さく頭を下げた。
状況を知らないすみれはライラさんと食糧のワードに速攻反応してみせる。
「そういえば、生肉の漬物が時期ですよね。もう完成してますか!?」
気まずい雰囲気もなんのその。すみれはお構いなしに料理の話題をぶっこむ。
暁さんは嫌なそぶりを見せることなく楽しそうに言葉を返した。
「あれから丁度2ケ月だから食べごろだな。そうだ。シャングリラにもおすそ分けしよう。本当にたくさんのお肉を貰えたからな」
「お肉! 暁、ありがとう!」
ハティさんはお肉がもらえると聞いて大喜び。
暁さんを全力で抱きしめた。全力すぎて暁さんの表情に苦悶と喜びが浮かぶ。
「ウグオッ! 喜んでもらえてなによりだ。しかし、準備があるから明日の朝に渡そう。無理じゃなければ今日は泊まっていくといい。大広間が空いてるから、そこを使ってくれ。それと、今はちょっと込み入った話しをしてるから、少し時間をもらえるか?」
「分かった。お風呂入ってくる!」
「ああ、いってらっしゃい」
手を振られて、子供たちを引き連れたハティさんが露天風呂へと向かう。
つられて義兄ちゃんやレーレィさんたちも露天風呂へとむかった。
わたしはライラさんの話しが気になるので残ることにする。
「あの、もしよろしれば話しを聞かせていただけるでしょうか。魔法の触媒について興味があるのですが」
「もちろんだ。ベレッタは魔法研究職なんだよな。マジックアイテムに興味を示すのは当然だ。聞かれて困る話しでもないし」
「ありがとうございます」
「それと、悪いが華恋も残ってくれ。魔剣ならともかく、魔法の触媒としての魔剣だと華恋の出番だろうから」
「それはつまり、宝飾品としてデザインするということですか!?」
「多分そうなる」
「わくわく♪」
魔法にはあまり興味を示さない華恋だけど、宝飾となると話しは別。
宝飾の話しになったので、ミレナさんも残って華恋の隣に座った。
相手が医者志望ということで、ヘラさんも興味を持つ。
暁さんもシェリーさんも腰を落ち着かせてライラさんから要点き聞き出す。




