異世界旅行2-1 秋風吹きて夢心地 41
とんでもない魔法。
なんだろう。それはとても気になる。
学会に発表したきらきら魔法が動画を通じて世界中に拡散していったのは知ってる。
線香花火のようにぱちぱちさせる。
スカートをくるりくるりと回る時に光の粉を散らすようにきらきらさせる。
タップダンスの足元をきらきらさせる。
ヤヤちゃんが作った光のお絵描きのようにきらきら魔法を空間に固定させ、誕生日パーティーを特別なものにした。
わたしの手から離れて、いろんな人の心に宿る。
魔法の種は芽吹き、育ち、花を咲かせて笑顔を作った。
花は綿毛になり、また次の人の元へ飛んでいく。
その姿が嬉しくて、誇らしくて、魔法を作ってよかったなって、心の底から思ったんだ。
わたしの子供のような魔法が異世界に来て、どんな成長を遂げたのだろう。
めちゃくちゃ気になるっ!
「とんでもない魔法っていうのは、どんな魔法なの?」
聞くも、アルマちゃんは満面の笑みを作って断った。
「残念ですが、それはリィリィちゃんに実演してもらいましょう。エディネイのために頑張ってるってことですが、きらきら魔法はリィリィちゃんのお気に入りの魔法になりましたから、生みの親であるベレッタさんになら見せてくれるはずですよ」
「そっか。誰かのための魔法になったんだ。それって本当に嬉しいな」
はぁ~、誰かに喜んでもらえるのって本当に嬉しいな。
どんな魔法になったんだろう。フェアリーと一緒に住むリィリィちゃんだから、きっとふわふわできらきらな魔法になったんだろうなぁ~。早く見たいなぁ~♪
幸せモード全開になって、しばし自分の世界にて泥酔するわたしをよそに、アルマちゃんは膳を持ってきた華恋に話しを振った。
「お刺身てんこ盛りですね。少しいただいてもいいですか?」
「もちろん。すみれが捌いてくれたみたい」
「すみれさん、ゲストなのに相変わらずですね。新鮮な魚が揚がったって聞いた時からそわそわしてたので、厨房に入るかもとは思ってましたけど」
「本当に料理が好きなんだね。あ、みなさんも好きに食べてください。つまみながらお話ししましょう」
それなら、と、スカサハさんが華恋に白羽の矢を立てた。
「華恋が異世界の職人さんに依頼した仕事っていうのが気になるな。どんな無理難題をふっかけたの?」
「無理難題じゃないですっ!」
「あはは。ごめんごめん」
スカサハさんはクールビューティーな見た目と違って、ちょっとお茶目な一面もあるみたい。
スカサハさんは華恋を困らせて、適切な言葉に言い直す。
「華恋が抱いた情熱を見てみたいな」
「もう。そういう言い方されたら怒れないじゃないですか」




