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異世界旅行2-1 秋風吹きて夢心地 24

 インヴィディアさんが話し終えると、待っていたかのように暁さんが現れた。


「お久しぶりです。インヴィディアさんがギルドにメドラウトとシャハルサハで作った紙を納品してくれたって聞いて探しました。こちらにいらっしゃったんですね」

「暁ちゃん、久しぶり。仕事で出かけてるって聞いたから、先にコーヒーの買い付けに来たの。そしたらアルマちゃんのお友達に会ってね、とても楽しい時間を過ごさせてもらったわ。それで、もしよかったらエルドラドを見てみたいのだけど、大丈夫かしら?」

「インヴィディアさんなら是非もありませんっ! 存分に見て行ってやってください。スカサハも元気そうでなによりだ。こちらの女性がインヴィディアさんが見初めたっていう義娘さんですか?」


 目配せされて、まずはスカサハさんが前に出る。


「暁さんもお元気そうでなによりです。彼女はクラリス。医療術者を目指す雛鳥です」


 スカサハさんに紹介され、緊張で背筋を伸ばしたクラリスさんが前へ出た。


「はっ、はじめましてっ! クラリス・メドラウトと申します。よろしくお願いしますっ! 私、バラも好きなんですが、ハーブが大好きで、メリアローザのダンジョンにはハーブが群生する場所があるって聞いて、できればそこに行きたいのですが、よろしいでしょうかっ!」

「もちろんだともっ! 香料、調味料、薬用からハーブティーまで、いろんな使い方ができるハーブが生ってるから、ぜひとも見て行ってくれ。気に入ったのがあれば株ごと譲るよ?」

「ほっ、本当ですかっ!? ありがとうございますっ!」


 ハーブ園。それはものすごく興味がそそられる。

 アルマちゃんから聞いた、ダンジョンにはハーブとスイーツが楽しめるカフェがあるという。そこだけは絶対に、絶対に訪れたいとわたしも思ってる。


 なのでぜひ、わたしも行ってみたいです。


「暁さん、わたしも噂のハーブ園に行ってみたいです。よろしいでしょうか?」

「もちろん、構わないよ。そよかぜ亭がある第一層はモンスターが出ないから、誰でも出入り自由だ。入場時間に制限を設けてる以外は特に気にするところはない。まぁでも、ハーブ園があるから虫とか鳥とかには気を付けるように、ってところかな」

「「おぉ~っ!」」


 わたしとクラリスさんの感嘆のため息がシンクロした。

 わたしたちを見て、アルマちゃんが前回の異世界旅行を思い出す。


「そうだ。インヴィディアさんたちはしばらく滞在するんですよね。明日にでも早朝からフラウウィードで朝スイーツとしゃれこみませんか? 朝日を浴びながらのハーブティー。朝露の香る風の中でスイーツタイム。いやぁ~、あれはなかなか素敵な体験でした」

「「「「「素敵すぎるっ!」」」」」


 わたしとクラリスさんと、ニャニャとリリィとレオさんの心が重なった。

 というか、レオさんはいつの間にいたの?


「美女が集まってるから吸い寄せられた」


 そうだった。この人、こういう性格だった。

 サンジェルマンさんを尊敬するハイラックス人は女好きが多い。いや、知る限り100人中100人は女の子好き。

 そして決まってこういうことを言う。


「もしよろしければ、お付き合いいただけますか?」


 速攻で口説きに入る。堂々としすぎて普通にヒく。

 スカサハさんはレオさんに軽蔑の眼差しを向けた。


「私は尻軽な人は大嫌いです。あと、男に興味ないんで」


 論外の中の論外だった。論外なんて次元ですらない気がした。

 クラリスさんは困惑した表情を作って丁重にお断りを入れる。


「私は、心に決めた人がいるので……」


 インヴィディアさんはくすりと笑い、困ったような楽しいような表情をした。


「ごめんなさいね。ずいぶん昔に、夫は作らないって決めたから」


 これを聞いて、興味本位100パーセントのアルマちゃんがとんでもない事実を引き出そうと試みる。


「インヴィディアさんの言う『昔』とは?」

「かれこれ950年くらい前になるかしら。詳しい月日は忘れちゃった」

「「「「「ッ!?」」」」」


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