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異世界旅行2-1 秋風吹きて夢心地 23

 わたしは医療術者ではないけれど、医療系魔法とか、応急処置に役立つ魔法とかの技術を身に着けたいって思ってるから、よかったら見学できるかもって思ったのに。

 この話しはあとで暁さんにするとしよう。

 微妙な空気を断ち切らんと、アルマちゃんがインヴィディアさんに話題を振る。


「インヴィディアさんはお土産屋さんにコーヒーを買いに来られたんですよね。以前来られた時に随分と買いだめされたって話しですけど、もう使っちゃったんですか?」


 インヴィディアさんはうっとりとした表情を見せて答える。


「ええ、烙耀豆を使ったコーヒーは本当においしかったわ。お友達や教え子たちにも分けてあげたらすっかりなくなっちゃって。できればメドラウトで栽培したいんだけど、土が合わないのか育たなくて。にゃんにゃんぷぅこーひーもとってもおいしから、一緒にたくさん買って帰るつもりよ」


 にゃんにゃんぷぅと聞いてか、いつの間にかニャニャがリリィの隣にいた。


「にゃんにゃんぷぅこーひーってなんですっ!?」


 猫が絡むと超ハイテンションになる。それがニャニャ・ニェレイ。

 子供好きなインヴィディアさんは突然の大声にも快く答えてくれた。


「にゃんにゃんぷぅこーひーというのは、エルドラドで栽培してる烙耀豆を加工したコーヒーなの。烙耀豆のコーヒーはフルーティーで甘めなんだけど、にゃんにゃんぷぅこーひーはほろ苦い味わいでスイーツとよく合うの。よかったら貴女も飲んでみてね♪」

「ぜひともですっ!」


 ニャニャが瞳をキラキラさせるも、スカサハさんはインヴィディアさんの隣で肩を落とした。


「あの、大変申し上げにくいのですが、今しがたインヴィディアさんがにゃんにゃんぷぅこーひーを買い占めましたよね?」

「…………あっ!」


 えっ!?

 全部買い占めたんですか?


 インヴィディアさんの表情から、しまったという感情が見てとれる。勧めた本人が買い占めてしまったジレンマが微妙な空気を作ってしまう。

 期待させたのに落とすことはできない。インヴィディアさんはにゃんにゃんぷぅこーひーが大好きなのか、ものすごく悩んだのち、買った分のひと袋をライブラから取り出してニャニャに手渡した。


「変な空気にしちゃってごめんなさいね。これ、みんなで楽しんで」

「あ、ありがとうございます。堪能させていただきます」


 貰えるのは嬉しい。だが、悩んだ末に渡されると気まずい。何か話題はないだろうか。

 インヴィディアさんはエルドラド産のコーヒー豆が好き。エルドラドはこれからわたしたちが赴く場所。アルマちゃんの友達の話しも聞きたい。ということで、ご一緒できないか誘ってみよう。


「実はわたしたちはこれからエルドラドへ向かう予定なんです。もしよろしければご一緒にどうですか?」

「それは素敵な提案ね。実は私たちもエルドラドを見てみたいって思ってたの。暁ちゃんが外世界で手に入れた本に書いてある、紙を作る方法を元にメドラウトとシャハルサハで共同製作したの。一応は十分な品質だと思ってるんだけど、エルドラドではどんな作り方をして、どのくらいのクオリティなのか知りたくて。それにエルドラドには魔力を動力にした魚の養殖場もあるらしいわ。できればそれも見て、メドラウトで再現可能なら技術供与をお願いしようと思ってるの。天候や季節に左右されずに食糧が手に入るなら、これほど素晴らしいことはないわ」


 おおっ、なんと!

 彼女たちもエルドラドに縁があった。興味もある。暁さんの許可があれば、一緒にエルドラドを楽しむことができるかもしれない。


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