異世界旅行2-1 秋風吹きて夢心地 22
お土産の目星がついたところでアルマちゃんを探そう。もっとメリアローザのことが知りたい。彼女に案内してもらいたい。
エルドラドについても話しを聞きたい。これから行くところだけど、前情報があるとよりわくわくできる。
探すと、自慢の金髪ツインテールとふりふりフリルを揺らす後ろ姿があった。
誰かとお話しをしてる。アルマちゃんは頑張り屋さんだから、お友達もたくさんいるに違いない。わたしもアルマちゃんのお友達と友達になりたい。
ということで、きりのよさそうなところで挨拶といこう。
「初めまして。アルマちゃんのご友人ですか?」
話しかけたのは3人。ふわりとした軽い髪質の女性。セクシーで、ゆったりとした立ち振る舞いは余裕のある大人の女性のそれ。
2人目は黒髪ストレートの黒衣の女性。鋭い眼光の中に包み込むような優しさを感じる。
最後の女性は金髪碧眼のゆるふわロングヘア。優しそうな目元は柔和で母性的な印象を受ける。
わたしの声に反応して、アルマちゃんが振り返った。
「紹介します。インヴィディアさん、スカサハさん、それからアルマも初めましてのクラリスさんです」
紹介されて、最初に前に出たのはインヴィディアと名乗る、風変りな雰囲気を持つ女性。ペーシェと似てる、黒い魔力の持ち主。妖艶で、艶やかな赤色の魔力が混じる不思議な人。
「初めまして、インヴィディアと申します。ライン・アディレイトレス九旗国末席【メドラウト】で国主をしております。なにとぞ、よろしくお願いいたします」
小首をかしげて小さく笑う。大振りな翡翠のネックレスがよく似合う。
二番手は黒髪ストレートの麗人。ぴっちりとした長袖長ズボンはほっそりとしたスレンダーな容姿を浮き上がらせる。
インヴィディアさんとはまた違った意味で綺麗系の女性。
「初めまして。スカサハ・メドラウトと申します。恐れながら、ライン・アディレイトレス九旗国【エルドレーヌ】の国主でございます。どうぞお見知りおきを」
紳士的で美しい立ち居振る舞いは夜空に輝く綺羅星のよう。
彼女の笑顔もインヴィディアさんと同じく、どきっとさせられる華やかさがある。
最後は2人とは雰囲気の違う金髪碧眼の女性。かわいらしい大人。子供っぽい笑みが特徴的。母性的な見た目は世の男性を魅了してやまないといった印象である。
「初めまして。クラリス・メドラウトと申します。スカサハさんと同じく、インヴィディアさんの養子で、今日はメリアローザのハーブと治療術の勉強に来ました。どうぞよろしくお願いします」
「治療術の勉強!?」
アルマちゃんは目を見開いて絶句した。なにか変なことを言っただろうか。
治療術と聞いて医療専科のリリィが現れた。
「初めまして。もしかして貴女も治療術者なのですか?」
「はい。まだまだ未熟者ですが」
「そんなことよりっ!」
アルマちゃんが無理やりに2人の間に割って入った。
「治療術の勉強をするのは結構ですが、くれぐれも、決して、一般人として参加しないでください。必ず暁さんを間に挟んでください。でないと大変なことになりますのでっ!」
「「た、たいへんなこと?」」
疑問符をわんさか作る我々の前に、スカサハさんが追い打ちをかける。
「ええ、アルマの言う通り、医療現場を視察するなら暁さんを介してじゃないと。でないと、血を抜かれてベッドに送られた挙句、簀巻きにされて屋上バンジーだから」
「「「なにそれ怖いですッ!」」」
スカサハさんの顔が冗談を言ってる顔じゃない。冗談であってほしかった。




