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異世界旅行2-1 秋風吹きて夢心地 20

 宝箱と言わんばかりに、シェリーさん、レオさん、ニャニャ、リリィが買ってきたカリソンが開かれる。

 カリソンとは『幸福のお菓子』と呼ばれる由緒正しいスイーツ。生地に使われたアーモンドと、砂糖衣に練り込まれた旬の果実の果汁がたっぷり使われたカリソンはティーパーティーを幸せなものにしてくれる。

 ラムさんは実家で作られるラム酒を使った手作りトリュフ。ガナッシュに混ぜたラム酒の香りがふわりと香る逸品。

 ヘラさんはめいいっぱいのカラフルマカロン。マカロン特有の生焼き状態でなく、クッキーのように軽いサクサク食感。果物の果汁をこれでもかと使ったマカロンは、サクサクの果物を食べるかのよう。


 素敵スイーツが机の上に並べられて、フェアリーたちはあっちへこっちへ駆け回る。

 どこへ行ってもスイーツだらけ。きらきらスイーツに心を焦がす。


 いただきますをして、先頭を行くローズマリーが4人に聞く。


「どうしよう。どれも素敵なスイーツだから迷っちゃう♪」


 続いて白雲が意見を伝える。


「そうですね。どれも本当にきらきらしてます。ここは順番に、ベレッタ様が作ってくれたメルヴェイユを食べるのはどうでしょう?」

「「「「賛成っ!」」」」


 よしっ!

 心の中でガッツポーズ。同時に握りこぶしを作ってガッツのポーズをするわたしの前にフェアリーたちが飛んできた。ふわふわゆらゆら。どきどきとわくわくを携えて、メルヴェイユをひと掬いして、ぱくり。

 咀嚼して、目を瞑り、深呼吸ののち、夢見心地といった表情をして宙へ浮いた。浮いて、ふわりふわりと球を描きながら、ヘンデル作【メサイヤ】の一部、ハレルヤコーラスを始めたっ!


 かわいらしくも神々しく宙を廻天する姿は、今ここに生きる喜びを体現するかのよう。


 コーラスが終わり、天体は星辰の位置へ戻ると、朝の陽ざしを思い出したかのように目を開き、ひと言、


「「「「「おいしいーーーーっ!」」」」」


 と、叫んだ。

 彼女たちの心の輝きの前では、悪魔だろうとひれ伏し、楽しく優雅にスイーツを堪能することだろう。純真無垢。人間が叶えたい全ての幸福を抱きしめるかのような笑顔が眩しい。

 ローズマリーたちはあまりのおいしさに、わたしに振り返って言葉を与えてくれる。


「ふわっふわで、あまあまで、お口に入れただけでじゅわっと溶けて、あんまりおいしいから心も体もふわふわ~って浮いちゃいそうだったよっ!」

「そんなに気に入ってもらえるだなんて、わたしもとっても幸せっ!」

「ベレッタが幸せだと、私たちもとっても嬉しい! ほらほら、みんなも食べてみて。ベレッタが作ったメルヴェイユがとってもおいしいよっ!」


 ローズマリーはメルヴェイユのおいしさをみんなに知ってもらいたくてぴょんぴょん飛び跳ねた。

 ぜひともと、みんな食べて喜んでくれる。

 嗚呼、なんて幸せな瞬間だろう。願わくばこんな幸せが永遠に続きますように♪


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